次に女性にオススメしたいのが、東村アキコさんの『東京タラレバ娘』です。

東村アキコ『東京タラレバ娘』（講談社）

　まあ、みなさん、すでに読まれていると思いますが、改めて。僕が好きなフレーズに「女子会やらずにカラッと外に出ようよ」という、タラレバ娘の一節があって、まさにそのとおりだと思います。先ほどの「時間どろぼう」の例えでいうと、女性にとって群れることの弊害は、実はかなり大きいと思います。この漫画を本棚に置いておくだけでお守りになります。

　最後がオノヨーコさんの詩集『グレープフルーツ・ジュース』です。

オノ・ヨーコ『グレープフルーツ・ジュース』（講談社文庫）

　これはすべて「◯◯しなさい」という命令形で綴られている詩集です。この本の最後に書かれていることを実行しようとすると、とても時間がかかるのですが、僕がはじめてこの本を読んだときは、キャンプ場でその行為を行いました。こういうことにつきあってくれそうな異性を誘ってみてください。ただ、時間を一緒に過ごせる人というのが、結局のところ家族になれる人だと思うので。

【柳下恭平】
1976年生まれ。エディトリアル・ジェットセット。世界中を放浪したのちに、帰国後に出版社に勤務。28歳で校正・校閲を専門とする会社、鴎来堂（おうらいどう）を創業。2014年末には神楽坂に書店「かもめブックス」を開店

＜取材・文／井野祐真＞