「ピュレグミ」世界最大のグミ消費国・アメリカへの挑戦。カンロ社長が語る進出の裏側

1912年創業の菓子メーカー『カンロ』は、社名を冠した「カンロ飴」をはじめ、独特の食感と酸味のあるパウダーが人気を博し、子ども向けの商品が中心だったグミ市場において、大人向けグミの先駆けとして支持を広げてきた「ピュレグミ」など、さまざまな商品を展開してきた。
そのカンロが、国内と並ぶ次の成長領域として力を入れているのが海外市場だ。なかでも本格的な開拓を進めているのが、世界最大のグミ市場であるアメリカで、主力となるピュレグミの取扱店舗数はすでに400店舗を超え、2026年7月にはロサンゼルスで開催された「Anime Expo 2026」に出展するなど、現地での認知拡大にも取り組んでいる。
2026年7月31日に開催された同社の「2026年度第2四半期決算説明会」では、世界的な大手ブランドが存在するアメリカ市場で、どのようにピュレグミを広げていくのか。説明会後、代表取締役社長 村田哲也さんに、米国展開の狙いや現地での手応えを聞いた。
世界でのシェア拡大への足がかりとしての米国展開
――海外展開を進めるなかで、米国市場に注目した理由を教えてください
村田社長:一番大きかったのは、米国が世界最大のグミ市場だということです。カンロ最大のブランドであるピュレグミを世界に広げていくうえで、米国は非常に重要な市場だと考えました。これは誰かのトップダウンで決まったものではありません。社内で議論を重ねるなかで、「ピュレグミを世界に広めるなら米国だ」という意思統一ができたことも、本格展開を決めた大きな理由です。
――米国展開を進めるなかで、想定外の出来事や障害はありましたか?
村田社長:トランプ政権の関税政策が二転三転するなど、市場そのものとは直接関係のないところで、想定していなかった出来事が起きました。今後さらに事業を広げていくなかでも、こうした予期せぬ障害は起こりうると考えています。そのつど迅速に対応し、改善していく。それに尽きると思っています。
――ハリボーをはじめとした大手ブランドがすでに根付いているなか、米国市場ではどのような戦略でピュレグミを広げていこうと考えていますか?
村田社長:ハリボーさんのような大手メーカーがすでに大きなシェアを持つなか、同じ土俵で競っても勝ち目は薄いと考えています。それよりも、米国にはまだあまりないピュレグミならではの味覚や世界観を武器に、その魅力を伝えていきたいと思っています。
現在は日系・アジア系スーパーマーケットを中心に展開しており、ピュレグミと親和性の高い消費者が中心です。今後、さらに幅広い層へ広げていくためには、現地の消費者が何を求めているのかをより深く理解しながら、認知を高めていく必要があると考えています。
――米国における取扱店舗数はすでに400店舗を超え、中期経営計画を上回るペースで増えているそうですが、日本での売り方がそのまま通用した部分と、異なる部分はありますか?
村田社長:通用した部分は、取引先とのコミュニケーションや、店頭でいかに露出を確保するかといった基本的なところです。そこは日本とあまり変わらないと感じています。一方で、今後変えていく必要があると感じているのは、認知獲得のための取り組みです。
日本ではすでにブランドも味も知られていますが、米国ではピュレグミという商品自体を知らない方がほとんどです。そのため、まずは味を知ってもらう施策に取り組んでいく必要があると感じています。

その一環として、7月に開催された日本アニメ・ポップカルチャーのイベント「Anime Expo 2026」でもサンプリングを実施しましたが、「リアルフルーツのようだ」というような反響がありました。消費者のリアルな声を聞けるのは何においても大事なので、こうした取り組みを今後も積極的に行っていくつもりです。
――今後、米国の消費者に合わせた商品を展開する可能性はありますか?
村田社長:可能性はあります。8月から米国でも展開するウォーターメロン味は、現地で好まれるフレーバーを意識して開発した商品です。日本でも夏に合うフレーバーとして展開できると考え、今回は両市場で販売することになりました。今後は、米国専用のフレーバーや商品が出てくる可能性もあると思っています。
――「カンロ飴」「ピュレグミ」「グミッツェル」と、時代ごとに代表的な商品を生み出してきました。今後、新たなヒット商品を生み出すために、どのような商品開発に取り組んでいますか?
村田社長:これまでのヒット商品を超えるものを生み出すことは常に意識しています。ただ、グミッツェルも企画から発売まで5年ほどかかっており、新しいヒット商品を生み出すのは簡単なことではありません。現在は、特許出願中の新技術を使った商品など、新しい商品づくりにも取り組んでいます。ヒットさせることだけでなく、まずは、お客様にワクワクしてもらえるような商品を届けること。この考えを大切に、今後も研究開発を続けていきます。
編集:土田洋祐