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ナフサ不足時代の「白黒ポテチ」から考える 次世代に響く価値の伝え方

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パッケージデザインは、消費者とメーカーをつなぐ重要な接点であり、商品の印象や購買行動に影響を与える、いわばブランドの顔ともいえる存在だ。しかし現在、中東情勢の緊迫化に伴い、パッケージに使用される印刷インクの原料・ナフサの供給不安から、食品メーカーを中心にパッケージデザインの簡素化が相次いでいる。

供給不安の解消時期は依然として見通しが立っておらず、今後、同様の対応を迫られる企業が増える可能性もあるだろう。そのような状況で、企業はどのように商品価値を伝え、消費者の購買意欲を喚起していけばよいのだろうか。Z世代やα世代といった若年層の消費行動を研究する、産業能率大学 経営学部 小々馬敦 教授に話を聞いた。

パッケージの簡素化は影響なし? 若年層は“パケ買い”しない

──ナフサ不足による、一連のパッケージデザインの簡素化について、どのようにお考えでしょうか?

産業能率大学 経営学部 小々馬敦 教授

私自身は、今回のパッケージデザインの簡素化をそれほどネガティブには捉えていないです。話題になったカルビー商品のモノクロ化をはじめ、色数を減らしたからといって商品の品質が変わるわけではありません。現在の売り場は情報や色があふれていることから、色による効果はひと昔と比較すると弱くなっています。むしろ、簡素な方が目立つ場合もあるため、差別化として色数が少ないパッケージが流行る可能性もあります。

白黒パッケージが発表された際、実際に学生にも意見を聞きましたが、「味が変わるわけではないので特に気にならない」という声が多く、現状では購買意欲の増減に影響はそこまでないように見えます。

──Z世代やα世代は、どのような基準で買う商品を選んでいるのでしょうか?

若年層ほど、企業からの「買ってほしい」というメッセージに敏感になっています。売り込みが強く感じられると、かえって距離を置いてしまう傾向があります。

そのため、パッケージの見た目だけで購買意欲が大きく刺激されるケースは少なくなっています。特に食品分野では、食欲を駆り立てるシズル感よりも、「ザクッ」や「シャキシャキ!」といった、商品の特徴を端的に示すオノマトペ表現により、「どのような味なのか」「自分にどのような価値をもたらすのか」が直感的に伝わる表現の方が響きやすいです。

──パッケージデザインの影響力が変化する中で、企業は今後どのような戦略を取るべきなのでしょうか?

現在でもすでにトレンドとなっていますが、消費者が売り場で商品を見た瞬間に、「これが欲しかったものだ」と認識できるパッケージです。

かつてはブランド名を覚えてもらい、店頭で思い出してもらうことが重要でした。しかし現在は、売り場で商品を探す際に、消費者が頭の中で思い描いている言葉とパッケージ上の情報を一致させることが求められています。

近年は、ブランド名そのものよりも、商品の特徴や期待できる価値を分かりやすく伝えるデザインが増えています。広告やSNSも含め、消費者が商品を見つけやすくするためのコミュニケーションが重視されるようになりました。

また、Z世代をはじめとした若年層は、「納得感」を判断の指針とする傾向があります。商品を選ぶ際も、SNSやレビューを確認し、本当に自分に合っているのかを確かめています。「自分の選択は正しかった」と感じられるようにするためには、商品の機能や品質だけでなく、開発ストーリーやブランドの考え方などを伝えることも大切です。

インク不足によってパッケージの色数が減ったとしても、商品の価値やブランドの魅力を伝える手段がなくなるわけではありません。むしろ今後は、見た目の派手さよりも、消費者との継続的なコミュニケーションが求められていくのではないでしょうか。


小々馬 敦
産業能率大学 経営学部教授。ブランドマネジメント、マーケティング戦略、グローバル経営戦略を専門とする。青山学院大学経営学部卒業後、広告会社やブランドコンサルティング会社で戦略立案や経営企画に従事。米国系ブランドコンサルティング企業の日本法人代表などを歴任し、2013年より現職。Z世代・α世代の価値観や消費行動、次世代マーケティングの研究にも取り組んでいる。著書に『新消費をつくるα世代 答えありきで考える「メタ認知力」』(日経BP)

文:土田洋祐



bizSPA!編集部

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