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成城石井が挑む「ロングサマー化」への布石。2カ月前倒しの調達と独自の商品開発力の裏側とは

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気象庁の発表によると、今年の7月から8月にかけては全国的に平年を上回る厳しい暑さが予想されている。こうしたなか、スーパーマーケットの「成城石井」では、本格的な酷暑を見据えた「涼を味わう、ひんやりグルメフェア」を開催。

昨今の猛暑の長期化・過酷化や、それに伴うライフスタイルの変化を受け、同社はどのようにして生活者の「購買ニーズ」を捉え、商品開発に活かしているのか。2026年6月26日(金)に開催された「成城石井流 おいしい酷暑対策」メディア発表会の内容をもとに、その取り組みについてレポートしていく。

“夏のキッチン三重苦”で、食事のマンネリ化が課題に

暑さが厳しさを増す中、消費者の食生活や購買行動は「タイパ(タイムパフォーマンス)重視」へシフトしている。こうした状況下で、成城石井は20代以上の成城石井公式アプリユーザー2031名を対象に「酷暑時代のキッチン実態調査」を実施。

生活者が思い描く理想の食生活は、「栄養バランスを整えたい」「調理負担を減らしつつ満足感のある食事を用意したい」というものだ。しかし、実際の夏のキッチンは非常に過酷な環境である。冷房をつけていてもコンロの前は室温が30℃近くにのぼり、火元付近は50℃を超えることもあるなど、汗をかきながら調理をしなければならない。

調査でも、「火を使う調理がつらい」「キッチンに立つ時間は15分以内が限界」と回答した人がそれぞれ4割を超える結果に。さらに、暑い日の食事作りのリアルは3割以上が「手の凝った料理よりも手軽さ優先」と回答しており、料理に対する理想と現実の間に大きな乖離が生じている実態が浮き彫りになった。

献立を考える余裕もない中で、つい手軽な冷たいメニューばかりを選んでしまう。そんな「食事のマンネリ化」が問題になっているのだ。

株式会社成城石井 執行役員 広報管掌の五十嵐 隆氏は、「『火を使う調理』『献立づくり』『食費の値上がり』が家庭を悩ませる”夏のキッチン三重苦”になっていることが、実態調査で見えてきた」と説明した。

こうした状況を打開するソリューションが、成城石井の「お惣菜」だという。

かつては“手抜き”と見られがちだったお惣菜だが、近年の酷暑においては「必要な選択」「合理的な暑さ対策」という捉え方が一般的になりつつある。実際、実態調査では約66%の人が「約66%の人が「お惣菜は賢い選択・必要な選択」と回答しており、夏を快適に過ごすためのポジティブな選択肢として、定着してきているのだ。

激変する夏の市場環境に適応した「供給体制」と「商品開発」

ここからは、株式会社成城石井 執行役員 商品本部 本部長 濱田 智之氏が登壇し、「酷暑」がもたらす業界の市場変化と今夏の商品戦略について発表した。

まず業界の市場変化だが、主に3つの外的・内的要因があるという。

1つ目は夏が長期化し、実に半年近くも暑さが続く「ロングサマー化」だ。この変化に伴い、従来の「夏の概念」そのものをアップデートしていかなければならない。

次に「生活防衛」という観点では、一過性にとどまらない円安や原材料高に対して、生活者の暮らしに寄り添った対応が求められている。

そして、「ウェルビーイング」の追求という点では、単に安さだけを求めるのではなく、「支払う対価に見合う本当の価値」を高い次元で求める傾向が強まっていることが挙げられる。

こうした要因に応えるため、「自社の強みを活かして他社に真似できない商品を提供していきたい」と濱田氏は語った。

成城石井は世界中から厳選した原材料・商品を仕入れる「自社輸入」や、職人が開発する「自社製造」など、独自の仕組みを活かしながら商品開発を行っている。

その中で、同社の強みは3つの軸があると濱田氏は述べた。

「まず核となるのが『自社輸入・グローバル調達力』です。子会社の東京ヨーロッパ貿易をフル活用し、商社を挟まずに中間マージンをカットすることで、適正価格でありながら付加価値の高い商品を安定的に提供しています。さらに、確かな目利きを持つバイヤーが国内の“半歩先”を行くトレンドを仕込み、厳選された原材料を用いた『オリジナル商品の開発』にも注力しています。

そして最大の強みが、食のプロや職人集団がレストランのクオリティをそのまま家庭の食卓へお届けする『セントラルキッチンの開発力』です。当社はこれら3つの強みを掛け合わせ、他にはない魅力ある商品をお届けしてまいります」(濱田氏)

また、ロングサマー化へ対応するため、原材料の確保スケジュールを従来よりも約2カ月前倒しした背景について、「これまでは夏商戦のピークである7月に照準を合わせていましたが、近年は5月の段階から本格的な夏需要が始まっています。そのため、早い段階から夏向け商品を充実させることで、ピーク時にはより魅力的な売り場を実現できる体制を確立しました」と、濱田氏は明かした。

そして調達エリアについても、従来の欧米圏中心からアジアへと拡大。ワインやチーズに加え、アジア各国のスイーツや食材の導入を強化しているほか、タイやベトナムなどからの原材料調達も積極的に進めているそうだ。

特に調達面においては、子会社の東京ヨーロッパ貿易による「グローバル調達」を推進している。海外メーカーから原材料や製品を直接輸入することで中間コストを削減し、高品質な商品をより手頃な価格で提供できる体制を構築している。

物流面では、自社便コンテナを活用した輸送効率の向上と安定供給に取り組んでいるのに加え、輸入した1つの原料を複数の商品に展開することで、スケールメリットを活かす「原材料の多様化」にも注力しているとのこと。

「惣菜・スイーツ・飲料」の3カテゴリー強化で夏商戦に挑む

商品開発では、主に「惣菜」「スイーツ」「飲料・レトルト」の3カテゴリーを中心に夏向け商品を強化していると濱田氏は説明した。

「お惣菜では、エスニック商品の拡充やレンジで本格的な味が楽しめるRTC商品の強化、野菜を豊富に使った栄養バランスの良いメニューを展開します。スイーツでは、塩レモンなどの清涼感のあるフレーバーや暑い季節に合う食感・喉ごしにこだわった商品、直輸入原料を使った「お手頃なのに少し贅沢」な品揃えをご用意しました。飲料・レトルトでは、直輸入原料のプレミアム飲料やオリジナル缶アルコール、スパイシーなカレーやエスニック系レトルトを拡充しています」

RTCとは「Ready To Cook」のことで、レンジで温めるだけでおいしい惣菜が味わえる商品である。成城石井のRTCは、2017年に海外の最新トレンドをいち早く捉えて開発したミールキットだ。

成城石井自家製 国産豚バラ肉のポン酢ジュレ温しゃぶ(税込647円)をはじめとしたRTC商品群

生の野菜や厳選した具材を使用するのはもちろん、「味の決め手となる『タレ』まで、自社のセントラルキッチンで開発している点が最大の強み」だという。そうした“こだわり”があるからこそ、ただ温めるだけの手軽さだけでなく、成城石井ならではの本格的なクオリティの味わいを楽しめるわけだ。

このような商品戦略のもと、成城石井では7・8月の2カ月間にわたって「涼を味わう、ひんやりグルメフェア」と「成城石井のおいしい自由研究!~スパイスとハーブでひも解くエスニックフェア~ 」の2つのフェア(※)を開催。

※ひんやりグルメフェア(期間:2026年7月3日~7月30日)/エスニックフェア(期間:2026年7月31日~8月27日

また、期間限定のフェアにとどまらず、コンロの調理が全く必要ない「RTC商品」の拡充や、オンラインショップでの「夏の福袋」の発売、さらには成城石井がプロデュースするワインバー「Le Bar a Vin 52 AZABU TOKYO 」では「涼感キャンペーン」を実施するなど、多様なアプローチを通じて、夏商戦に挑んでいくそうだ。

成城石井の「ひんやりグルメフェア」注目商品

見た目から涼しさが伝わる「成城石井自家製 ひんやりトマトのコンポートジュレサラダ」。トッピングのコンポートジュレには、成城石井が直輸入したチリ産オリーブオイルや、トルコ産セミドライトマトなど、こだわりの原材料を使用している。

このサラダ一品で「1日分の緑黄色野菜」がしっかりと摂取できる、栄養面にも配慮した商品となっている。

「成城石井自家製 韓国風冷やし中華(自家製麺使用)」は、でん粉を加えることで、もっちりとした弾力のある食感に仕上げた一品。冷たい状態でも食感がしっかり残るように、麺はタピオカを配合するなど、成城石井ならではのオリジナリティを追求したという。

さらにトッピングのタレは、ニンニク、唐辛子、生姜、醤油などをセントラルキッチンで独自に配合し、絶妙な味のバランスを細かく調整している。

自社で企画・開発を手がけ、一貫したものづくりに取り組む。こうした妥協のない開発思想と、自社でサプライチェーンを完結させる仕組みこそが、「成城石井ならではの商品開発」につながっているのではないだろうか。

取材・文・写真:古田島大介


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