HR EXPO主催者が語る 総務・人事・教育の最新トレンドとは?

RX Japan 合同会社 事務局次長 山口峻太さん
2026年6月17日(水)~19日(金)、東京ビックサイトにて「HR EXPO 2026」が開催された。人事・教育・採用といったバックオフィス領域に向けた製品・サービスが集まる本展示会は、今回で25回目の開催を迎え、長年にわたり企業の人事・総務担当者と出展企業を結び付けてきた存在であり、言わば出展の傾向からその時々の企業課題とニーズが読み取れる。そこで今回は、主催・運営を行う『RX Japan 合同会社』の担当者にインタビューを敢行。主催者目線からバックオフィス領域の変遷と現在のトレンドについて語ってもらった。
人手不足時代に求められるバックオフィス戦略
──今回のHR EXPOで特に存在感を感じたテーマはありますか?

ずばり「AI」、「福利厚生」、「ワークプレイス改革」ですね。まずAIにおいては様々な業務で利用されていますが、バックオフィス領域においてもその波は広がっていて、AIエージェントを中心に出展社が確実に増えています。本展示会では「人事」「教育」「会計」「防災」などカテゴリを細分していますが、そのほぼ全てにAIに紐づいた出展が行われています。
次いで「福利厚生」についてですが、従来の馴染みの深いものをはじめ、食事補助に関連する出展が目立つようになりました。今年の4月に非課税限度額が引き上げられたことが大きな要因だと思います。また、昨今では福利厚生の充実が人材確保の武器として広まっていることから、健康や娯楽といった切り口から参入されている企業さんも多いです。
「ワークプレイス改革」は、簡単に言うとオフィスや働く環境を再設計する取り組みです。リモートワークが定着する一方で、近年は出社回帰の動きも広がっています。こうしたハイブリッドな働き方が当たり前となる中、企業はオフィスの存在意義や役割の見直しを進めています。従業員が快適に働ける空間づくりはもちろん、チームワークを発揮しやすい環境や、商談・コミュニケーションを促進する場としての機能強化を支援する出展社も増えました。
──なぜこうしたテーマが注目を集めているのでしょうか?
根本にあるのはやはり人手不足ですね。人材の採用や育成においてはAIが代用することで工数を捻出できますし、手厚い福利厚生は従業員の定着にもつながります。また、ワークプレイス改革も優秀な人材の確保や生産性向上を目的とした取り組みの一つです。人材の獲得競争が激しくなる中、「限られた人材で成果を出すこと」と「従業員に長く働いてもらうこと」の両立は企業ないしは、バックオフィス部門の喫緊の課題であることが表れているのではないでしょうか。
──長い歴史のあるHR EXPOですが、 これまでで特異点だと感じたタイミングはありましたか?
ガラっと変わったのはコロナ禍の時期ですね。それまでは総務やバックオフィスは企業の縁の下の力持ち的な見られ方で、その仕事の重要性が理解されにくいものでした。ですが、コロナの流行によってそれまで当たり前と考えられていた働き方や人事制度、福利厚生など、それまでの常識が覆りました。そうなったときに、企業を支えるバックオフィス部門の重要性が再認識され、展示会においても関連サービスへの関心が大きく高まった印象があります。
──最後に、HR EXPOをはじめ、さまざま展示会を年間で100本以上主催する御社の立場から見て、来場者へ響きやすい出展の特長はどこにあると考えていますか?

語りだすととても長くなってしまいますが…(笑)。端的に言うのであれば来場者視点で出展されているかが重要だと思っています。製品のことを専門用語だけで説明してもわかりにくいですよね。共通する言語もあるかもしれませんが、全ての来場者が全てを理解できるなんてことはまずありえません。顧客が抱える課題に対し、自社のサービスを丁寧に説明すること。そういった営業ができている出展社さんはやはり強いなと思います。
RX Japan 合同会社
1986年設立。日本最大級の展示会主催会社として、東京ビッグサイトや幕張メッセなどで年間100本以上の展示会を企画・運営する。人事・総務・経理WeekやJapan IT Weekなどを主催。
文:土田洋祐
写真:土田洋祐