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【米大統領選のカラクリ】得票数が多くても勝てるとは限らないワケ

学び

米大統領選のカラクリ

インターネットやSNSで世界中の情報がリアルタイムで手に入る時代、オンライン会議で日本はもちろん、海外のどこにいてもコミュニケーションできるのが当たり前となった。ビジネスパーソンなら海外のビジネス関係のニュースも押さえておきたい。

そこで、各国の情勢に精通しているピエール・パパンさんに、アメリカの大統領選挙について解説してもらった(以下、ピエール・パパンさんの寄稿)。

全米での支持率ではハリス氏優勢

アメリカ大統領選まで3カ月を切ったが、これまでのところ、ハリス氏が若干優勢なようだ。

ロイター通信が公表した最新の世論調査によると、全米での支持率ではハリス氏が45%、トランプ氏の41%より4ポイントリードする展開となっている。ペンシルベニア州やアリゾナ州など激戦7州でも両者の支持率は拮抗しており、ハリス氏優勢を伝えるメディアが多い。しかし、このままハリス氏が獲得票数でトランプ氏を上回り、勝利するとは限らない。

有権者からの得票数ではなく、選挙人の獲得数で勝負が決まる

大統領選挙と聞くと、有権者からの得票数が多いほうが勝利すると誰もが思うだろう。しかし、米国の大統領選挙はそうではない。8年前の大統領選挙では、トランプ氏とヒラリー・クリントン氏が戦ったが、クリントン氏は約6,420万票を獲得し、約6,220万票だったトランプを200万票ほど上回ったにもかかわらず、選挙戦ではトランプ氏が勝利した。

米国大統領選挙は、得票数が多いほうが勝つという純粋なやり方ではなく、全米各州の人口比に応じて割り当てられた選挙人の数を、いかに多く獲得するかで勝負が決まる

たとえば、最も人口の多いカリフォルニア州(4,000万人弱)の選挙人の数は54となり、それに次ぐテキサス州(3,000万人弱)が40などとなり、人口の少ないハワイ州(約140万人)の選挙人の数は3となる。選挙人の総数は538で、過半数の270人以上を獲得したほうが勝利する仕組みになっている。

得票数が多いほうが選挙人を総取り

そして、選挙人を獲得する仕組みも理解する必要がある。有権者たちは支持する候補者の名前を書いて投票するわけだが、それは州ごとに集約され、得票数が最も多かった候補者が、その州に割り当てられたすべての選挙人を獲得する“勝者総取り”方式になっているのだ。

たとえば、テキサス州でトランプ氏がハリス氏より得票数で1票上回っただけでも、トランプ氏はテキサス州に割り当てられた選挙人40を独占して獲得することになる。そうやって、いかに多くの選挙人を獲得するかを争い、早く270に到達したほうが勝者となる。

選挙人が多い州に注目

8年前、クリントン氏は200万票あまり上回ったものの、獲得した選挙人の数では、トランプ氏が306人、クリントン氏が232人と大きな差が生じ、結果としてトランプ氏が勝利した。

つまり、勝利するためには、できるだけ選挙人の多い州で、相手の得票数を上回る必要があるのだ。特に選挙人が多い州、すなわち人口の多い州は、カリフォルニア州、テキサス州、フロリダ州などで、これらの州での両者の支持率に注目すると、選挙の結果をある程度見通すことができるといえるだろう。

フランスのパリやカンヌなどに留学し、フランスやその他の国々を旅し、ライティング活動を行っている。

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