デンマーク発『Jabra』が見据える“オンライン会議革命” 日本市場への本格参入に向けた会議室向けビデオソリューションの新ラインナップを発表

デンマーク発の音響・映像機器メーカーで、ビジネス向けヘッドセットでは世界トップシェアを誇る『Jabra』が2026年5月14日(木)、都内で開いた発表会にて会議室向けビデオソリューションの新ラインナップを発表した。大会議室に対応する拡張型のシステムと、小会議室向けのBYODビデオバーという、上下に一気に幅を広げる内容だ。商品展開の理由のほか、日本市場のオンライン会議領域への見解を示した。
目次
3つのコンポーネントであらゆる状況に適応
今回Jabraは、小規模なハドルルームから大会議室まで対応する新たな会議室向けソリューションを発表した。中核となるビデオバー「PanaCast 55 VBS」を中心に、スピーカーマイクや拡張カメラを組み合わせることで、部屋の規模に応じた構成ができるのが特徴だ。

PanaCast 55 VBS
中心となる「PanaCast 55 VBS」は、Jabraがこれまで展開してきた「PanaCast 50 VBS」の後継モデルにあたる。180度のパノラマ映像という特徴を引き継ぎながら、ノイズキャンセリング性能を向上。さらに背面には拡張用のUSBポートを新たに搭載している。単体で半径約6メートル、およその中規模会議室であれば、これ1台で映像・音声・処理まで完結できるスペックを持つ。
単体でも優れたスペックを誇るが、Jabraの真骨頂はさらに必要に応じて周辺機器を追加して機能の拡張が行える点だ。

Expansion Speaker Mic
まず追加できるのが、「PanaCast スピーカーマイク」だ。単体で半径2.5メートルを収音でき、ビデオバーと組み合わせることで最大11メートルまで対応範囲を広げられる。

PanaCast 55 VBS と Expansion Speaker Mic を同時利用した際の収音範囲。双方のマイクが収音し、およそ13mの領域をカバーする
内部にはアコースティックレンズ設計を採用しており、音を下方向へコントロールしながら、テーブルを囲む参加者へ自然に音を届ける構造になっている。接続方法もシンプルで、ビデオバー背面のUSBポートにCat6ケーブルを1本接続するだけ。給電も兼ねるため、追加のソフトウェア設定は不要だ。

Huddly L1カメラ
さらに大規模な会議室においては、Huddly製の拡張カメラが推奨されている。6K解像度と92度の視野角を備え、顔の62箇所を認識しながら参加者をスコアリング。最もスコアの高い話者を自動で判別し、カメラを切り替える仕組みになっている。

AIの自動感知によるさまざまな画面レイアウトに対応している
プリセット設定や複雑なプログラミングは必要なく、最大5台まで接続可能。リモート側には、話者のクローズアップ映像と会議室全体の映像を同時表示できる。
また、導入のしやすさも大きな特徴だ。Jabra ビデオ事業部 シニア・バイス・プレジデントHolger Reisinger氏(以下、ライジンガー氏)によると、開発テーマのひとつが「箱を開けてから最初の会議を始めるまで15分」だったという。実際、パッケージには箱を完全に開封しなくてもネットワークケーブルと電源を差し込める構造が採用されており、接続後は自動で設定が完了する。専門の技術者も必要なく、直観的にセッティングを行える。
小規模会議室向けモデル「PanaCast U30」も登場
一方で、同時に発表された「PanaCast U30」は、小規模なハドルルーム向けのBYODビデオバーだ。120度の広角レンズを搭載し、USB-Cケーブル1本で接続可能。無線コンテンツ共有機能「AirTeam」にも対応する。
イベントでは、「一般的な会議室レイアウトでは、180度の画角は広すぎるケースもある」という説明も行われた。PanaCast 55 VBSほどのプレミアム機能は必要ないものの、Jabra品質は求めたいという層に向けたエントリーモデルという位置づけだ。

これによりJabraは、小規模会議室から大会議室までをカバーするAndroidベースの会議室向けソリューションを揃えた形となる。
Jabraが巻き起こすオンライン会議改革
コロナ禍を機に、それまで世界で普及が進んでいたオンライン会議が、日本でも急速に広まりすっかりと定着した。そして現在、参加者の多くが会議の際に利用するのは手持ちのPCやスマホで、拡張機材を利用するケースは少ない。内蔵のマイクとカメラで十分な機能を発揮してくれる以上、音声や映像の環境はそこまで重要視されていないのが実情だろう。

Jabra ビデオ事業部 シニア・バイス・プレジデントHolger Reisinger氏
ではその中で、Jabraが外付けデバイスをあえて会議室に導入することで何を変えようとしているのか。ライジンガー氏に聞くと、最初に返ってきたのは「more inclusive meetings」という言葉だった。
オンライン会議では、会議室にいる人とリモートから参加する人の間に体験の格差が生まれやすい。画面越しの参加者は発言のタイミングをつかみにくく、議論の当事者というより傍観者になりがちだ。その結果、意思決定の場に全員が対等に関われなくなる。この非対称を機材の力で埋めることだ。
「話している人の顔が正面からしっかり見えて、リモート参加者とアイコンタクトが取れること。音声においても自然かつ鮮明に聞こえれば、実際に対面しているようなリアルな感覚でオンライン会議が行えるようになる」とライジンガー氏は話す。
また、Jabra製品はオンライン会議の領域において急速に広がるAI活用においても期待されている。MicrosoftはTeams上の会議をAIが支援するCopilotを展開し、ZoomもAI Companionで会議の自動要約や話者識別付きの文字起こしを提供するなど、主要プラットフォームが軒並みAI機能を実装し始めた。

日本マイクロソフト ソリューションエンジニア・水元美紀氏
イベントに登壇した日本マイクロソフト ソリューションエンジニア・水元美紀氏は「AI活用する際、その効果はデバイスの識別の精度に依存します。Jabra様のような高性能なデバイスを導入することで、AIをより便利なツールとして利用できるようになり、会議をはじめとした業務の効率化にもつながります。今後も、Jabra様をパートナーとして、AI推進および会議改革を行っていきたい」と語った。
マイクロソフトとJabraはBetter Togetherというパートナーシップを結んでいる。また、オンライン会議ツールでTeamsと双璧であるZoomからの認定も取得している。
広大なホワイトスペースを有する日本市場への期待

左:GNオーディオジャパンの安藤靖氏
今回の発表会冒頭にて、ライジンガー氏は、「日本のJabraは世界の中でも非常に好調な市場」と話す。発表会にはグローバルおよびAPACの幹部メンバーも来日。日本市場をどのように拡大していくかについて、来日メンバーを含めたヘッドクオーターと、定期的に戦略会議を行っていることも明かされた。
GNオーディオジャパンの安藤靖氏(代表取締役社長)は「日本にはホワイトカラーワーカーが3,600万人いて、企業の数も会議室の数も多い。それにもかかわらず、ビデオ機器の導入はグローバルと比べると浸透していない。それ故にホワイトスペースは非常に大きい」と話す。
Jabraはビデオ領域でこの5年間、PanaCast 50 VBSという1つの製品だけで市場を耕してきた。「製品の評価は高かったが、もっと広い部屋でも使いたい、もっと小さい部屋にも入れたいという声はずっとあった。1製品だけではなかなか土俵に上がりきれなかった」と安藤氏は振り返る。今回のフルラインナップは、その5年越しの制約をようやく解消する布陣だ。
先述した通り、Jabraがこれまで日本で展開してきたのは、中規模会議室のスケールに対応したもので、小規模と大規模をターゲットにした動きはこれから始まっていく。
「地域別で見ると、アジア太平洋が全インダストリーを通じて最も高い伸びが見込まれる市場だ。日本は去年も素晴らしい成績だったが、今年はさらに良くなる。グローバルとしてもアジア太平洋、とりわけ日本への投資を加速していく」とライジンガー氏は明言した。

年末にはオールインワン型のコラボレーションボード「PanaCast Board」の発表も控えている。新橋のJabra日本法人(GNオーディオジャパン)オフィスでは、紹介した機材ほか、最新のビデオ会議カメラ「PanaCastシリーズ」を実際に体験できるデモルームも新設された。Jabraによるオンライン会議革命が起きる日はそう遠くないだろう。
Jabra 公式HP:https://www.jabra.com/ja-JP
文:土田洋祐
画像:土田洋祐、PR TIMES