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1万人を育てた教育経営者・安藤大作が語る『人が育つ組織』の条件

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「中小企業白書」(2024年・中小企業庁発行)では、人材の確保・育成は主要経営課題として挙げられるほか、同年に日本商工会議所が実施した調査では、中小企業の6割以上が「人材の確保・育成」を経営上の課題として回答しており、人材育成に悩む経営者は少なくない。

では、人はどのような環境で成長し、自ら挑戦する力を身につけるのだろうか。その問いに向き合い続けてきたのが、三重県を拠点に40年以上教育事業を手がけてきた安藤大作さんだ。同氏の著書『欠けた心の磨き方』には、経営理論やマネジメント手法だけでなく、人の成長や自己肯定感に着目した教育論が綴られており、それらが人材育成という課題に対してのヒントとして支持されているという。

孤独な少年時代が生んだ教育哲学

安藤さんが営む「株式会社安藤塾」では、単に「勉強を教えること」ではなく、自己肯定感や挑戦する力を育む教育を重視している。その教育観の原点は、同氏の幼少期の経験にある。

両親と離れ、生活環境を転々とした幼少期を過ごしていた安藤さんは、常に「自分には帰る場所がない」という感覚があったという。やがてその苦しみは、生きる意味を見失うほど深くなり、一度は本気で自ら命を絶つことまで考えた。転機となったのは、母親との対話だった。自分の思いを伝えた時、初めて知ったのは、自分が愛されていたという、それまで見えていなかった事実だった。

安藤さんはその時のことを、「翌朝、世界が輝いて見えた」と振り返る。

この経験は、その後の人生に大きな影響を与えた。人は能力や環境だけで変わるのではなく、自分の存在価値を認められた時に成長する――。そうした考えのもと、安藤さんは22歳で「株式会社安藤塾」を創業した。

創業当初は学習塾としてスタートしたが、子どもの成長には学齢期以前の環境も重要だと考え、現在は保育園や放課後児童クラブなども運営。約500人の子どもたちの育ちに携わりながら、自己肯定感や挑戦する力を育む教育を実践している。

安藤さんが扱っているのは、教材やカリキュラムではない。

・愛
・感謝
・自己肯定感
・信頼

など、数値化が難しい、情操的な無形資産である。近年、企業経営においてもエンゲージメントや心理的安全性が重視されている。しかし安藤さんは、それを教育現場で30年以上実践してきた。

保護者向けの講演会も定期的に実施し、教育の大切さを説いている

人は、能力によって成長するのではなく、「自分には価値がある」と思えた時に成長を始める。それが安藤さんの一貫した考え方だ。

現在、AIの台頭によって知識やスキルの価値は大きく変わろうとしている。しかし、人が幸せに生きるために必要な本質的なものは変わらない。誰かに認められること。感謝されること。自分の可能性を信じられること。

人材育成とは何か。組織づくりとは何か。その答えは意外にも、最新の経営理論ではなく、一人の教育経営者が伝え続けてきた「愛と感謝」の中にある。


安藤大作(あんどう・だいさく)
株式会社安藤塾 代表取締役。三重県を拠点に40年以上にわたり学習塾や保育事業を展開し、これまで1万人以上の子どもたちの教育に携わる。現在は学習塾のほか、保育園や放課後児童クラブなどを運営。著書に『欠けた心の磨き方』(フォレスト出版)


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