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“ただ会って話を聞く”だけの26歳女性に、依頼が殺到する理由

暮らし

 2019年9月放送のドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ)で取り上げられ、さまざまな反響が寄せられていた“レンタルなんもしない人”さん。「なんもしない人(ぼく)を貸し出します」の一言から広まった生き方は、多くの人びとの注目を集めました。

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会社員のかたわらで「レンタル話を聞く人」として活動するよもぎちゃん(26)

 そして、同番組に出演して話題になった人物がもう一人います。彼女のハンドルネームは、よもぎちゃん(Twitter:@yomogimon00)。平日はOLとして働くかたわら、TwitterのDM経由で依頼を受け、交通費と飲食代のみで“レンタル話を聞く人”として活動している女性です。いったいなぜ誰かの話を聞き続けるのか。お話を聞いてきました。

自分が“話を聞きたい”という一心で始めた

――話を聞くために自分を貸し出す。そもそもなぜ“レンタル話を聞く人”を始めようと思ったのですか?

よもぎちゃん(以下、よもぎ):大学時代に“レンタル彼女”としてお仕事をしていた経験が原点です。指名してくれたお客様と遊びに出かけたり、食事をしたり、さまざまなデートをするお仕事だったのですが、どこかへ出かけるよりも指名してくれた“カレシ様”の話を聞くのが一番好きだったし、楽しかったんです。現在26歳で、現役から離れてだいぶ経つのですが、その「話を聞く部分」だけをまたやりたいなぁと思い立ったのがこの活動を始めたきっかけです。

――Twitterで“レンタル話を聞く人”のアカウントを作ったのが今年4月。それ以前からやられていたということですか?

よもぎ:そうですね。今のアカウントは心機一転を図り作り直したものなんです。実は1年以上前から似たようなことはやっていて、私がレンタル彼女時代のエピソードを書き綴ったブログが注目して頂けたこともあり、レンタル彼女ユーザーの方がちらほら利用してくれていました。そういった実績を重ねるにつれ「この人、何か話を聞いてくれるらしいぞ」とじわじわ噂が広まっていった感じで。そんなとき『ザ・ノンフィクション』の放送があり大きな反響をいただきました。

最初は有料で依頼を受けていた。しかし…

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スケジュールを細かく管理するよもぎちゃん。1日に最大で4件を引き受ける日も

――現在に至るまでは、どのように依頼者を募っていたのですか?

よもぎ:初めはネットショップのサイトで「1時間3000円」と、値段を付けて依頼を引き受けていました。けれどそこまで大した反応もなく、いろいろと模索している中で、たまたまレンタルなんもしない人さんの存在を知りました。純粋に依頼者としてレンタルさんにお会いしたのですが、実際にお会いして改めてシステムを見返して「こんな方法もあるんだ」と思い、真似させていただきました。

 とはいえ冷静に考えると、私が話を聞きたいのに、交通費と飲食代は負担していただくのって結構図々しいことしているなって。でも、ありがたいことにみなさん優しい方が多く、文句を言われることなくやれており、今ではだんだんと開き直ってきております(笑)

――具体的に、どのような流れで依頼を引き受けるのでしょうか?

よもぎ:TwitterのDMで依頼を受付けております。頂いたDMに目を通し、自分が話を聞きたいと思った方に対して「お聞きします」と返答しています。そこから希望日をいくつか上げてもらい日程を調整し、お会いする場所、待ち合わせ場所を決めます。平日は会社で働いているので18時以降、遅くとも20時からのスタートまでとしていて、場所もどこまでも対応できるわけではないので“北千住”を起点に電車で30分ほどを目安に。土日祝日は、相談によりけりです。

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相手に返答する文面には「ガンガンタメ口」という注意事項も付け加える

――現在は、どれほどの依頼が来ているのでしょうか?

よもぎ:最近はおかげさまで反響も大きくなり、1日に5~10件ほどの依頼が来るようになりました。たくさん連絡を頂いているのに申し訳ないのですが、すべての依頼に返答できる訳ではないです。お話を聞こうと思うのは「聞いて欲しい内容をしっかりと書いている人」ですね。文面から「誰かに話さないときっとこの人、壊れてしまいそう」と滲(にじ)ませてくる人はとりわけ優先していて、反対に、明らかに趣旨を理解していないヤバい文面の依頼には触れません。

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