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“ただ会って話を聞く”だけの26歳女性に、依頼が殺到する理由

暮らし

負の感情を受け取りすぎない工夫も

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依頼者と会う場所もいろいろ。日中は喫茶店、夜はお酒を飲みながら話す機会もあるという

――実際に「話を聞いてほしい」と言ってくる依頼者は、どのような人が多いのでしょうか?

よもぎ:傾向としては40~50代の男性が多いですね。何かしらの役職に就かれていて、会社でも家庭でも「愚痴を吐き出せない」と言う方が多くて驚いてます。負の感情をどう吐き出すべきかと悶々としているなか私を知り、何を話してもその後に利害が発生しない相手、嫌われても問題ない相手としてお話をしに来てくれます。地味に多いのが奥さんとの関係を「女性目線で聞いて欲しい」とお願いしてくる方ですね。あと最近だと、社内で新入社員と仲よくしていたら「えこひいきハラスメントだ!」と言われてしまい、接し方をどうしたらいいかと悩んでいる方もいました。

――男性が多い一方で、女性からの依頼もありますか?

よもぎ:もちろんいらっしゃいます。最近だと既婚者の依頼者さんが増えています。つい先日も双子のお子さんを育てているママさんから「子どもの世話が大変で爆発しそうだから、とにかく話を聞いて欲しい」という依頼があり、その文面の切実さから速攻で返答しました。他にも風俗を利用していた彼氏に復讐した話や、同性に恋をしている話、パパ活の話など、普段周りに話せないことを話にきてくれます。

――負の感情を受け取るには相応のストレスもかかると思うのですが、切り替えはできるものなのでしょうか?

よもぎ:話を聞いている最中に、感情移入して苦しくなることもあります。場合によっては「幼少期からの虐待に苦しんでいる」といった話が来ることもあり、正直「私は本当に聞くだけでいいのか……!?」と思ってしまったり。ただ、私の場合は話を聞いたあと、依頼内容をイラストにまとめてTwitterに上げているんですけど、絵を描いてまとめていくと不思議と切り替えられるんですよね。また、お話を聞いたあとにみなさんから「スッキリしました」と言っていただけるのも、すごく気持ちが軽くなります。

依頼者がストーカー化したこともあった

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本人いわく「我が強い」ので、重たい話も平気だと笑顔で応える

――実際に依頼者とお会いするとき、初対面というのもあり危険な目に遭ったことはないのでしょうか?

よもぎ:じつは、一度だけありました。お会いした男性がSNSストーカー化したので、迷わず警察へ駆け込みましたね。いつものように2時間ほどお話を聞いてさよならしたのですが、翌日から好意を伝えるメールが来るようになり……。私から「そういうのは無理です」と伝えたら、態度が一変して毎日のように暴言やセクハラまがいの内容が届くようになりました。

 無視し続けていたら、ついに「人生を棒に振ってでも地獄の底からお前を探し出してやる」と脅されたので、迷わず警察に駆け込みました。本人から「自分を信用して欲しいから」と一方的に送られてきた身分証の画像があったので証拠として提出し、警告を出してもらいました。でもたまに「あ、この人、私に依存してしまいそう」と感じる男性がいるのも事実で、細心の注意を払っています。

――交通費と飲食代のみというシステムですが、正直なところ、謝礼などをいただいたことはあるんでしょうか?

よもぎ:謝礼、というか、交通費を気持ち多めにくださる依頼者さんは結構多いです。一度だけ、すごいビックリしたケースもありました。お話を聞いたあとに、3種類の封筒を並べて「交通費、好きな封筒を選んでね」と言われたんです。帰って確認してみたら、自分が選んだ封筒に10万円が入っていて。往復の交通費が400円ほどの依頼者さんだったので、さすがにいろんな意味で手が震えましたね……。

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