元SHEIN日本代表が創業した家具ベンチャー『CAGUUU』。新製品とともに描く“高級家具の民主化”

2024年創業の家具ベンチャー『CAGUUU株式会社(以下、カグー)』が10月5日、温熱家具シリーズ「CAGUUU WARM LIVING」の第一弾となる新製品の発表会を都内で開催した。代表取締役の中村勇輝さんらが登壇し、新製品の概要や、10月9日にオープンした同社初の常設直営店「CAGUUU国分寺マルイ店」のねらいを紹介した。
生活者が「いつも座る場所」に着目した新製品

今回の発表会にて紹介された新製品は、「グラフェン遠赤外線セラミックこたつテーブル」と「グラフェン遠赤外線セラミックダイニングテーブル」の2種類。前者は発表会当日より販売を開始し、ダイニングテーブルは11月から順次発送予定とされる。

グラフェン遠赤外線セラミックこたつテーブル
サイズはそれぞれ2種類あり、こたつテーブルは幅80cm×奥行80cm×高さ40.5cmが55,490円(税込)、幅120cm×奥行70cm×高さ40.5cmが66,490円(税込)。

グラフェン遠赤外線セラミックダイニングテーブル
ダイニングテーブルは幅140cm×奥行80cm×高さ72cmが98,990円(税込)、幅160cm×奥行80cm×高さ72cmが123,990円(税込)となっている。
登壇した製品開発責任者の速水康博さんは、開発にあたって生活者が「いつも座る場所」に着目したと説明する。

CAGUUU株式会社 商品開発責任者 速水康博さん
「テーブルは食事だけの場所ではありません。食後に家族でテレビを見たり、お茶を飲みながら話したり、子どもと遊んだり、絵を描いたりと、さまざまな時間を過ごす場所です。そこに、必要なときに使える暖かさがあれば、いつもの場所をもっと心地よくできるのではないかと考えました」
両製品の天板は「セラミック層」「グラフェン発熱層」「(電気)回路層」「保護構造」の4層からなる。グラフェンとは炭素原子がシート状に並ぶ素材で、イギリス・マンチェスター大学のアンドレ・ガイム氏とコンスタンチン・ノボセロフ氏が、グラフェンに関する研究で2010年にノーベル物理学賞を受賞するなどして注目されたものだ。

同社によれば、「グラフェン発熱層」は通電すると電気抵抗によって広い範囲が発熱し、遠赤外線を含む熱を放射。従来のイメージされるこたつのように、1箇所の熱源から熱を放射するのではなく、テーブル全体の広い発熱面からじんわりと熱を届けることで、テーブルの周辺にも暖かさが広がる。点ではなく、面で暖める設計だ。
両製品は、それぞれの温度設定が異なり、こたつテーブルは20〜60度、ダイニングテーブルは20〜45度に設定可能。いずれも2・4・6・8時間のタイマー機能を備え、暖房を使わない季節にはそのままテーブルとしても利用できる。
発表会後のインタビューでは、中村さんは近年、グラフェンの研究や開発が盛んな中国で製造されたグラフェンを用いたテーブルを見た際、「日本のこたつに応用すれば、支持されるのではないか」と発案したという。
品質とデザイン、価格のバランスを保ち「高級家具の民主化」を
中村さんは東京大学大学院を修了後、コンサルティングファームを経て独立し、インフルエンサーのブランディングやスマート家電の事業を立ち上げた。その後、ECサイトなどを手がける中国発のファストファッションブランド「SHEIN」の日本事業の立ち上げに携わり、約3年間、日本市場責任者を務め、2024年5月にカグーを創業した。
家具事業参入の原点は2021年頃、同棲をはじめた妻との買い物だった。

CAGUUU株式会社 代表取締役 中村勇輝さん
「海外家具ブランドの2人掛けソファを約50万円で購入したが、注文から到着まで約半年かかったんです。たとえ品質がよくても発送に時間がかかることは『いい体験ではない』と思いました。その後、SHEINのECサイトに関わる中で生産や流通の仕組みに触れて、『家具業界にも応用できるのではないか』と考えるようになりました」(中村さん)
同社が掲げる理念は「高級家具の民主化」だ。中村さんによると、高級ブランドに匹敵する品質やデザインを保つ家具を、大衆向けブランドに近い価格で提供するのが目標。その実現に向け、同社独自の製造・流通・販売の仕組みを作った。
製造では中国の工場と直接提携し、素材選定から加工、検品まで同社が一貫して管理する。流通では貿易会社や卸などの中間業者を介さずに消費者へ販売するD2Cの仕組みを採用し、販売はオンラインを中心に展開している。
消費者の家具選びについて、中村さんは「ライフステージに合わせて考えるべきモノ」だと持論を述べる。進学や就職、結婚、子育て、加齢など、生活環境が変われば家具に求めるものも変わる。そこでカグーでは、特定の世代や家族構成にターゲットを限定せず、単身世帯から子育て世帯、シニア世帯まで、それぞれの生活に合った家具を選べる品ぞろえをめざしている。
そのための商品開発を支えるのが、小ロットで多品種を展開する生産体制だ。毎月新製品を投入しながら、複数の商品を並行して開発することで、選択肢を広げているという。
「同時進行で複数の製品を出せますし、幅広い選択肢をユーザーに提供できます」
中村さんが掲げる「高級家具の民主化」は、単に高品質な家具を安く販売することだけを意味しない。生活の変化に応じて、そのときの自分に合った家具を無理のない価格で選べる環境をつくることも、その構想の一つだ。
初の常設直営店で「実際に見たい、ふれたい」に応える

CAGUUU国分寺マルイ店
10月9日に初の常設直営店「CAGUUU国分寺マルイ店」をオープンさせた。発表会では、約116平方メートルの売り場に約30点の製品を展示する計画を伝えた。ECサイトの写真を見て、実物を確認して購入した消費者もおり、直営店でも「実際に見たい、ふれたい」という要望に応えたいと中村さんは話す。
国分寺を選んだ理由は、JR中央線や西武線の沿線、多摩地域の消費者にとっての利便性から。「オンラインで写真を見て興味を持ち、店舗で試し、納得して購入する。そうした体験を提供できればと思っています」と、新たな試みのねらいを語る。
2026年内には関東近郊でさらなる直営店を設ける予定で、既存の協業店舗と併せて展開。今後3年間では国内100店舗を目標に掲げるが、「都心の一等地でブランドイメージを高めるための店舗というより、消費者の生活に密着した場所へ出店したい」と構想を描く。

「いい家具を買いたいときにカグーを選んでもらえる『国民的な家具ブランド』への成長させたい」と中村さんは意気込む。将来は海外にも展開する予定もあるという。「高級家具の民主化」の実現に向けた挑戦は、これまでのオンライン販売と実店舗。二つの軸をもって進む。
CAGUUU株式会社
2024年創業。東京都港区に本社を置く家具・インテリア企業で、代表取締役は中村勇輝氏。「高級家具の民主化」を掲げ、家具・インテリア商品の企画・製造・販売や、自社ECサイト・アプリ「CAGUUU」を運営する。世界各地の工場と直接提携し、中間流通コストを抑える独自のサプライチェーンを構築。デザイン性や品質を保ちながら、手の届きやすい価格で家具を提供している。
取材・文・写真:カネコシュウヘイ
編集:土田洋祐