ようやく責任を取らされるかと思いきや…

　しかし、ここで思わぬ出来事が。

「今度は田上部長が批判にさらされる立場になったんです。次々と社員が退社したことで、ようやく幹部が動いて吊し上げたんです。さらに一部の社員たちもパワハラを訴えたことで、とどめをさされました」

　周囲を追い込んでいた田上部長が精神的な不調を訴えて休職、しばらくして退社することになったのです。

「そうしてポッカリと空いたポジションに推されたのが、藤澤さんでした。『推された』と言ったら聞こえがいいですが、実際は『この事態を作った責任を取れ』という感じでした」

　けれども、ITの素人でエンジニアからの信頼もない藤澤さんに、部長のポジションをこなす度量も、新商品を開発する能力もあるわけがなく……返答を先延ばしにした挙句、まるで逃げるように退社してしまったそうです……。

　大量の退職者と、商品開発体制に大きな穴を開けた藤澤さんの行動は、『藤澤の乱』と呼ばれ、今でも度々話題に上るといいます。

＜取材・文／和泉太郎　イラスト／カツオ（@TAMATAMA_GOLDEN）＞