かつて、アイドルグループ・NMB48のメンバーだった高野祐衣さん （28・@yuipooon12_06）。

高野祐衣さん（28）

　2021年10月1日、10年間のタレント生活から卒業した彼女は現在、経営者として日本酒専門ECサイト「ゆい酒店」開業や、新潟県の酒蔵・阿部酒造とのコラボレーションによるオリジナル日本酒づくりのために奔走している。

　10代半ばで芸能界入り。華やかに見える世界で過ごしながらも「他の世界では何ができるんだろう」と葛藤した彼女はなぜ“日本酒”を武器に経営者へ転身したのか。前後編にわたるインタビューで過去から未来まで、そのキャリアを追った。

日本酒ECサイト「ゆい酒店」の準備中

　高野さんの肩書きは、株式会社ゆい酒店の代表取締役だ。現在は日々、周囲に支えられながら経営者としての仕事をこなしている。

「会社の構成は、代表取締役の私を含めて4人ほど。他のみなさんは正社員としてではなく、チームスタッフとして協力していただいています。芸能界を辞めて、会社を設立したのは2021年11月12日です。最初は経営に対する意識やノウハウがなく、周囲のサポートも受けながら『経営者とは何か』と身をもって学んでいるところです。

　現在は日本酒専門ECサイト『ゆい酒店』の準備がメインです。販売したい日本酒の銘柄をピックアップし、酒蔵さんへ販売させていただくための営業をかけています。好きな日本酒を自由に置けるわけではないので、営業の難しさを痛感しています」

NMB48卒業後は満足できる活動でない

　華やかに見える芸能界から一般社会へ。10年間のタレント活動に見切りを付けて、セカンドキャリアへ進んだ背景にどんな思いがあったのか。

「大きな決断でした。芸能界を離れようと決めたのは2021年の夏頃。その後、10月1日に退所しました。10代半ばから芸能活動しかやってこなかった自分が『他の世界では何ができるんだろう』と、ずっと考えていたからです。

　アイドル経験ある子たちは、似た思いを抱えていると思うんですよ。私は、2期生として加入したNMB48を2015年7月に辞めてから、タレント活動を続けていて。でも、満足のいく活動ができていたわけではなく、いつか何となく『結婚するんだろう』とか、漠然と将来を考えていました」