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鹿島、大林組…生き残るのは?将来安泰な「スーパーゼネコン」はわずか2社だけ

ビジネス

大林組:コロナで海外事業が軟調

品川インターシティ

本社は1999年に品川インターシティに移転した ©7maru

 株式会社大林組は業界2位のゼネコンです。かつては関西に本社があり、西日本に強い企業というイメージが持たれていましたが、現在では本社を東京に移転し、全国で実績があります。事業セグメントは(1)国内建築、(2)海外建築、(3)国内土木、(4)海外土木、(5)不動産の計5つに分類されています。2019/3~2022/3期の業績と主なセグメントの売上高は次の通りです。

【株式会社大林組(2019/3~2022/3期)】
[全社業績]
売上高:2兆397億円→2兆730億円→1兆7669億円→1兆9229億円
営業利益:1555億円→1529億円→1232億円→411億円
最終利益:1132億円→1131億円→988億円→391億円

[主なセグメント別売上高]
(1)国内建築:1兆1266億円→1兆1931億円→1兆0126億円→1兆0953億円
(2)海外建築:4104億円→3992億円→3044億円→2989億円
(3)国内土木:3692億円→3614億円→3600億円→3666億円
(4)海外土木:589億円→722億円→720億円→896億円

2021/3期は約3000億円の減収

 近年の業績はトップの鹿島建設と同じように推移しています。2020/3期は公共工事や民間工事がおおむね堅調で、前年と同水準の売上高・利益を確保しました。

 しかし、翌2021/3期は約3000億円の減収となります。五輪関連など、前年までの公共大型案件の工事が縮小したことで国内建築事業が減収。海外建築事業に関しては、コロナ禍によって東南アジアや北米での工事中断が相次ぎ、収入が悪化しました。端境期となる国内事業、コロナで苦しむ海外事業の両方が打撃をうけました。

 回復が期待される2022/3期ですが、国内建築がやや回復したものの、海外建築事業が軟調となり、2020/3期を上回ることはできませんでした。前期末段階で売上高1兆9100億円を予想しており、受注高に基づいた予想値をおおむね満たす水準でしたが、利益は建材費や輸送費などの原価高騰により、大幅に減少しました

 2023/3期は第2四半期の段階で、通期売上高2兆450億円、営業利益860億円を見込んでいます。建築事業に関して国内は軟調なものの、円安の進行で海外事業の売上高が伸びているようです。

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