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鹿島、大林組…生き残るのは?将来安泰な「スーパーゼネコン」はわずか2社だけ

ビジネス

 大型オフィス・商業施設などの建築と道路・橋梁・河川などの土木工事を取りまとめるゼネコンですが、その中でも年間売上高が1兆円を超える大手5社は「スーパーゼネコン」と呼ばれます

ゼネコン イメージ

画像はイメージです(以下同じ)

 スーパーゼネコン5社の業績推移をみると、業界は“端境期”を迎え近年は失速しているようです。2023年に入ってからコロナも収束しつつあり民間企業の投資も回復していますが、ゼネコン業界は“2つの重石”を抱えており、先行きは厳しいかもしれません

鹿島建設:海外事業も強い業界トップ

 鹿島建設株式会社は売上高(完成工事高)が2兆円を超える業界トップのゼネコンです。事業セグメントは(1)土木、(2)建築、(3)開発事業等、(4)国内関係会社、(5)海外関係会社の5つに分類されています。(1)及び(2)はその名の通りの事業を展開していますが、(3)では不動産開発や設計、(4)は国内における機材販売やリース、(5)は海外での開発事業を展開しています。2019/3~2022/3期の業績と主なセグメントの売上高は次の通りです。

【鹿島建設株式会社(2019/3~2022/3期)】
[全社業績]
売上高:1兆9743億円→2兆0108億円→1兆9072億円→2兆797億円
営業利益:1426億円→1320億円→1273億円→1234億円
最終利益:1098億円→1032億円→985億円→1039億円

[主なセグメント別売上高]
(1)土木事業:3011億円→2881億円→3348億円→2718億円
(2)建築事業:9281億円→9576億円→7823億円→9207億円
(4)国内関係会社:3896億円→3932億円→3780億円→3161億円
(5)海外関係会社:4560億円→4691億円→4891億円→6239億円

「ボーナスタイム終了」からV字回復

鹿島建設本社ビル

鹿島建設本社ビル ©soraneko

 2020/3期は底堅く推移し、全社売上高は2兆円を超えました(過去最高はバブル期の1992/3期、2兆1997億円)。東日本大震災関連の復興事業や五輪関連の建設など、大型工事が着実に推移しました。海外も北米事業が伸びたようです。

 しかし一転、2021/3期は減収に転じ、利益も減少しました。この期は復興・五輪関係の大型工事が一巡し、ゼネコン業界全体が縮小した“端境期”にあたります。コロナ因子というよりも前年までのボーナスタイムが終了したことで減収に陥った形です。海外については東南アジアがコロナ影響で悪化も、北米は好調でした。

 翌2022/3期は建築事業が回復し、海外事業の好調もあってV字回復を遂げました。北米を中心とした物流倉庫開発の案件が主な増収要因となっています

 なお、2023/3期は第2四半期段階で通期売上高2兆4300億円、営業利益1130億円を見込んでいます。国内では半導体や医薬品など先端製造業向けの建築需要が伸びているようです。ただし国内は競争が激化しているため減益を予想しています

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