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「自動運転」「MaaS」関連求人が爆発的に増加傾向の今。就職・転職にオススメの企業は?

学び

近い将来必ずやってくると言われる「自動運転」「MaaS」の時代

自動車やバイクといったモビリティ業界や不動産業界では、数年前から注目されている「自動運転」「MaaS」といったキーワード。

「自動運転」とは、コンピュータ制御によって「運転する人が必要ない」モビリティのことで、これによってドライバーによる操作ミス・違反などが減り、すなわち交通事故の大幅な減少が実現できるというもの。

また、「MaaS」とは「人の移動を根本から変えるサービス」で、「Mobility as a Service(モビリティ・アズ・ア・サービス)」の頭文字を取った概念。バス、電車、タクシー、飛行機など、すべての交通手段による移動を一つのサービスに統合し、ルート検索から支払いまでをシームレスにつなぐものだ。これによって交通渋滞を減らし、都市部のCO2排出量の削減になり、交通弱者のサポートも実施でき、さらにこれまで交通手段に制限があったエリアの人々にも移動の機会を増やすことが可能になると言われている。もちろん、「MaaS」には「自動運転」といった新モビリティの運用も期待されている。

実際、大手モビリティメーカー、不動産業界はこぞって「自動運転」「MaaS」に先駆けた取り組みを行っており、この大変革は「近い将来必ずやってくる」とも言われている。

最注目の「自動運転」「MaaS」にまつわる情報を発信する『自動運転ラボ』

そんな中、「自動運転」「MaaS」における最新情報を紹介するニュースメディア『自動運転ラボ』編集部では興味深い情報を発表した。なんと「自動運転」関連求人が増加し続けているというのだ。

これもまた、「自動運転」「MaaS」時代への期待度を高める一つの実例と言って良いと思うが、今回はこれら「自動運転」「MaaS」に関連する求人が増える理由や、新モビリティ時代の予測について、『自動運転ラボ』を運営する株式会社ストロボの代表取締役・下山哲平氏に話を聞き紹介する。

2022年8月の「自動運転関連」の求人数は前年の62%超え!

とにかく伸びまくっているという「自動運転」「MaaS」関連求人

『自動運転ラボ』は自動運転技術を中心とした、モビリティ業界の最新テクノロジー・ビジネスに関する最新情報を発信するニュースメディア。「MaaS」「空飛ぶクルマ」といった国内外の最新情報も知ることができる、業界でも珍しい専門メディアである。

その筋の最新情報に詳しい『自動運転ラボ』編集部・下山氏に、「自動運転」「MaaS」関連の求人が増えている理由、その中身について聞いてみた。

「『自動運転』『MaaS』関連の求人が過去最多となっている要因は、市場規模の拡大が主な理由です。
『自動運転』の分野は研究開発・実証実験の段階から徐々に実用化・商用化のフェーズへと移行しつつあり、市場が拡大しています。『MaaS』に関しても、実証的に展開していたサービスやアプリが実運用されるようになり、同様のことが言えます。
その求人の中身は、これまではエンジニア人材が中心でしたが、最近では事業企画やマーケティング、営業担当者などのニーズが高まっています」(下山氏)

その求人数は2022年8月時点で43648件。2021年の同月と比較すると、なんと62.2%増となった。さらに直近の2023年5月の求人数は、26815件。直近では減りつつもあるが、それでも2021年よりは増加傾向にあり、全体的にはやはり「自動運転」「MaaS」関連のニーズが高いことが感じられる。

最注目の一方、なかなか承認されない「自動運転」と、その理由

ただし、「自動運転」に関しては、技術的には実現できてもなかなか承認がおりないこともモビリティ関連のニュースでよく目にする。どうしてなのかも聞いてみた。

「自動運転技術の開発目標の一つとして、事故の発生率を手動運転よりも低くすることがあります。
自分で運転しなくても良いという『便利さ』も自動運転化のメリットですが、まずは『安全』が最重要視される必要があります。日本は従来より安全に関する基準を厳しく設けている背景もあり、自動運転の解禁を慎重に進めているといった側面がありましたが、法改正によって自動運転レベル4が解禁され、実用化・普及に向けた土台が整いつつありますので、今後は徐々に日本国内でも自動運転シャトルや自動運転タクシーの商用展開が始まっていくと考えられます。
まずは自動運転技術を活用した公共交通が普及していき、その後、市販車の自動運転化が進んでいく流れになると予測しています」(下山氏)

『自動運転ラボ』の見立てでは「自動運転」は公共交通から普及し、徐々に市販車の自動運転化が進むという

大手企業がすでに始めている「MaaS」サービス

そして、「MaaS」関連の未来についても聞いた。

「すでにトヨタは『my route』という『MaaS』サービスを多地域で展開しており、現状、日本企業の中で最も目立った存在と言って良いでしょう。JR東日本といった交通大手各社もすでに『MaaS』アプリの展開をスタートさせつつあり、UI/UXの改良などでしっかりとユーザーを獲得していけるかがポイントとなってくると思います。
また、不動産会社では、三井不動産が積極的に『MaaS』に取り組んでいます。グループで展開する商業施設やホテル、マンションなどで、複数のモビリティサービスの利用やイベント情報の閲覧などができる『MaaS』サービスを展開中です。
こういった取り組みが少しずつ浸透し、経路検索アプリなどが進化していく形で今後、『MaaS』サービスとして展開される例も目立ってくるのではないでしょうか。結果的に多くの人が自然と『MaaS』サービスを利用している状況になっていくのではないかと見込んでいます」(下山氏)

「自動運転」「MaaS」関連に就職・転職する際のオススメ企業

これだけ伸びしろがあり、多くの求人数がある新業態なので、就職・転職を希望する人もいると思う。特に20代の若い世代にとって、「自動運転」「MaaS」関連でオススメできる関連就職先についても助言してもらった。

「ベンチャー企業への就職・転職を考えているのであれば、『自動運転』では、ソフトバンク傘下の『BOLDLY(ボードリー)』といった企業や、大学発のスタートアップ企業の『ティアフォー』などが選択肢の1つに挙げられるでしょう。新しい企業なので、20代の力をより強く反映してくれることが期待できることと、さらに最先端技術にも触れ、伸びしろがあるように思います。
また『MaaS』の分野では、トヨタグループにおけるモビリティサービス関連の求人のほか、ヴァル研究所といった経路検索サービス、『MaaS』サービスを展開している企業に注目してみると良いと思います」(下山氏)

近い将来、洗濯が「手洗い」→「全自動洗濯機」へと変わったような、大変革が訪れる

ここまでの紹介の通り、「自動運転」「MaaS」といった分野は、今でこそ「聞いたことあるな」という程度であるものの近い将来に必ず訪れる新時代であり、大きなビジネスチャンスも秘めていると言って良いと思う。

最後に『自動運転ラボ』編集部が見据える「自動運転」「MaaS」の未来について結んでもらった。

「いまは当たり前のように全自動洗濯機が使われ、洗濯を手洗いでしている家庭はほとんどありません。
こういった変化と同じように、将来、当たり前のようにクルマが『自動運転』で走行する社会が訪れます。
『MaaS』が普及すれば、ユーザーは1つのサービスで複数の交通機関をまとめて検索・予約・決済できるようになり、移動の利便性が飛躍的に高まるでしょう」(下山氏)

爆発的な求人数の伸びを見せる「自動運転」「MaaS」関連。就職先、転職先として注目するのも良いだろう。また、そうでなくても私たちの生活を大きく変える変革・概念には変わりはなく、今後も特に注目していきたい分野と言って良いだろう。

<取材・文・撮影:松田義人>

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自動運転ラボ
https://jidounten-lab.com/

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