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新宿・歌舞伎町の「木彫りの熊」1,000体を陳列した人気レストランは味も驚愕の連続だった

グルメ

ご存じの通り、新宿・歌舞伎町には無数の飲食店がある。その中には、前代未聞の北海道レストランもあるという。その名は『KIBORI』。歌舞伎町の入り口『ドンキホーテ』の並びのビルにある店で、店内には合計1,000体を超える「木彫りの熊」が陳列されているという。

新宿・歌舞伎町にある「『木彫りの熊』が1,000体いる店」とは一体!?

確かに「木彫りの熊」は、古くから「北海道のお土産」の筆頭であり、日本人の多くが知る置き物だ。しかし、いくら北海道レストランと言っても、1,000体もの「木彫りの熊」を陳列し、さらに店名まで『KIBORI』とするのは、相当な理由があってか。今回、その1,000体の「木彫りの熊」がいる店『KIBORI』に行き、その実態に迫ってみた。

「木彫りの熊」は一般者からの寄贈で集まった

「新たな価値を与えて再生する」アップサイクルのコンセプトから金色に塗られた「木彫りの熊」がお出迎え

『KIBORI』はビルのテナントを2フロア使うという力の入れようで、北海道産などの肉、野菜、チーズといった陸地で得られた食材を使った料理を展開する「DAICHI(ダイチ)」というフロア、北海道で採れた海鮮食材を使った料理を展開する「UMI(ウミ)」 に分かれる。

この2フロアに「木彫りの熊」が1,000体以上いるとのことで、エレベーターを降りると、すぐに無数の「木彫りの熊」が陳列されていた。しかもそのほとんどが金色。従来のモノに新たな価値を加えて再生するアップサイクルの意味もあるという。そのサイズはバラバラだが、「よくここまで『木彫りの熊』を集めたもんだ」と感心した。

陳列される「木彫りの熊」のサイズはバラバラ

同店スタッフによると、『KIBORI』のコンセプトを決めた際、出店に先立ち、一般公募で「クマファンディング」というものを実施したという。これは自宅に眠っている「木彫りの熊」を寄贈してもらい『KIBORI』の店内装飾にリメイクして再活用する試み。つまり、店内に置かれた多くはどこかの誰かの家で眠っていた「木彫りの熊」ということである。

油断すると、頭上にも「木彫りの熊」が……

北海道森町とのコラボメニューを食べてみた

とにかく圧倒される『KIBORI』の店内だが、筆者はここで北海道料理をいただくことにした。

今年いっぱい実施しているという北海道森町とのコラボキャンペーン「森町」フェアのメニューの中から「えぞ鹿モモ肉のロースト」「えぞ鹿の肉団子」をオーダーしてみた。

「えぞ鹿モモ肉のロースト」1300円(税込)

まず、「えぞ鹿モモ肉のロースト」。えぞ鹿のモモ肉とは珍しいジビエ肉でもあるから、相応の臭みを覚悟していたが、これが全くしない。じっくり時間をかけてとローストしているからなのか、実にさっぱりした風味で美味。一緒に添えられた北海道産たまねぎと山わさびによるソースとの相性も抜群。白ワインや日本酒とも合うように思った。

「えぞ鹿の肉団子5個」800円(税込)

また、「えぞ鹿の肉団子5個」はつなぎを一切使用しない『KIBORI』特製の自家製肉団子で、えぞ鹿のすね肉を使用しているとのこと。旨味が強く、肉本来の味とジューシーさを感じることができ、これもまた絶品の味わいだった。

ジンギスカン風に炒めていただく「トンギスカン」

ジビエ肉で十分満足したところで、次に豚肉を食べることにした。オーダーしたのは「ひこま豚のトンギスカンセット」。豚肉とホルモンを野菜と一緒に炒めていただくもの。言うに及ばず豚肉を使ったジンギスカン風の『KIBORI』独自の料理だ。

「ひこま豚のトンギスカンセット」1980円(税込)

これがまたうまい。豚肉・ホルモンのジューシーな肉汁が野菜に絡み、さらに味噌との調和で次々に口に入れたくなるヤミツキ感がある。ご飯のおかずにもピッタリなので、シメの料理としても良さそうだ。

その味に感動し、1,000体の「木彫りの熊」もなぜか愛おしくなる

『KIBORI』は北海道直送の食材を、「ここでしか味わえない」絶品料理で提供してくれる店だった

正直「木彫りの熊」を店内に1,000体陳列していると聞き、味よりもイベント的な要素を優先させた店なのかと思ったが、そんなことはなく、その味も本格的な北海道料理であり何を頼んでも美味しく「ここでしか味わえない料理」を楽しむことができた。歌舞伎町エリアでは、その飲食店の数の多さに「どこに入ったら良いか」と悩むことがあるが、そういった人にこそ勧めたいのがこの『KIBORI』。

内装のインパクトに対し、味のクオリティの高さから、老若男女誰でも満足できることウケアイの店である。

店内の各所で「木彫りの熊」を見ると、なぜかホッとするようにもなってきた

また、店内にいると、だんだん「1,000体の木彫りの熊」がいる状況にも慣れてきて、むしろ落ち着くようにもなったのも不思議。

前例のない不思議な店ではあったが、聞けば、昨年のオープン以来、昼夜問わず多くの客が訪れ賑わっているという。中にはリピートする顧客も多くいると言い、オリジナルグッズの販売も行われていた。

その味によって先入観を大きく覆してくれる『KIBORI』。筆者にとって歌舞伎町エリアでは特に推したい店の一つになった。ここまで読んでくれたあなたも是非一度行ってみてほしい。

<文/松田義人>

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・KIBORI
https://kibori-restaurant.com

音楽事務所、出版社勤務などを経て2001年よりフリーランス。2003年に編集プロダクション・decoを設立。出版物(雑誌・書籍)、WEBメディアなど多くの媒体の編集・執筆にたずさわる。エンタメ、音楽、カルチャー、 乗り物、飲食、料理、企業・商品の変遷、台湾などに詳しい。台湾に関する著書に『パワースポット・オブ・台湾』(玄光社)、 『台北以外の台湾ガイド』(亜紀書房)、『台湾迷路案内』(オークラ出版)などがある

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