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ホンダフィット、20年の歴史を辿る。累計800万台オーバーになった「革命的大衆車」

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 ホンダのハッチバック型大衆車・フィットが誕生したのは、今から20年前の2001年のこと。「bizSPA!フレッシュ」世代にとっては幼少期に「初めて見たクルマがフィットだった」なんていう人も多いかもしれません。なぜならフィットは世界累計800万台以上の販売台数を誇り、国内市場売り上げナンバーワンだった時期もあるほど浸透したクルマだったからです。

ホンダフィット

 現在も、日本はもちろん世界中で愛され続けるこのフィットですが、どんなところが革命的で人々に支持されることになったのでしょうか。今回はホンダの現行フィット開発者に、外観面でのこだわり、機構面に投入した創意工夫と技術などを聞きました。現在までに4世代あるフィットの各モデルの特徴などと合わせてじっくり紹介したいと思います。

「安い」「小さい」のマイナスイメージを大きく覆す

ホンダフィット

それまでのコンパクトカーにはなかった室内空間の広さとシートアレンジを実現したフィット

 まず、そもそも20年前に登場したフィットは、どんなコンセプトで開発されたクルマだったのかを、本田技研工業株式会社のフィット開発責任者・田中健樹さんに聞きました。

「それまでのコンパクトカーでは潜在的に諦められていたこと、『安いクルマだから安っぽい』『小さい車だから狭い』『コンパクトカーだからカッコ悪い』という常識を覆し、たとえ安いクルマでもオシャレで若々しいデザイン、小さいけど驚くほど広い室内空間、多彩なシートアレンジを実現しました。その結果、日本国内だけでなく世界中の多くの方から愛されることになりました」

 ホンダはこういった従来のイメージを覆すようフィットに創意工夫をこらし、結果的に親しみやすい外観・ディテール面に至ったようです。

「初代当時から現在まで、流行っているようなやや攻撃的なデザインではなく、日常生活のパートナーとして親しみ易い表情を持たせ、ボディカラーも生命感を感じさせるような、クリーンでナチュラルなものをラインナップしました。

 また、内装も過剰な装飾を避ける一方、その素材にはかなりこだわりました。触れる部分には上質でソフトな素材を使いました。シートを新設計することで快適な座り心地を実現、同時に上質感のある素材を持たせました」

他モデルにも大きく影響を与えた斬新機構

ホンダフィット

室内空間を広く取れる秘密は、フィットのコア技術でもある運転席の下にあるセンタータンクレイアウト

 こういった親しみやすさと合理性は機能面にも反映させたそうです。特に象徴的なのが、室内空間を広く取るために工夫されたセンタータンクレイアウトというシステムです。

「通常、クルマのガソリンタンクは後部座席下や背後に配置されることが多いですが、フィットでは前列シート下に配置しました。このことで室内空間を広くさせるとともにシートアレンジによる使い勝手の良さを実現させました。この機構はフィットのコア技術であるとともに、後のホンダの数多くのクルマにも反映されました」

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