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ホンダフィット、20年の歴史を辿る。累計800万台オーバーになった「革命的大衆車」

ビジネス

若者のクルマ離れ、国内市場の縮小に

 ここまで紹介した通り、ホンダの創意工夫と技術を投入したフィット誕生から今年で20周年ですが、一方でモビリティ分野全体に視野を広げれば、各社とも「ガソリン車廃止」に向けた取り組みを実施しており、まさに時代の転換期を迎えています。

 現にフィットそのものも4代目は2021年5月末時点で、売り上げ台数が12万台強となっており、初代や2代目のヒットに比べれば落ち着いた印象です。若者のクルマ離れ、縮小傾向にある日本の自動車市場に対し、ホンダがどう対処していくのかも聞きました

「商品としては、新たな移動価値を提供出来るよう様々な技術を搭載したラインアップを拡充しています。また、定額でのクルマのご利用や、最新のクルマをご利用できるカー・シェアサービスなども用意し、新しいクルマへのアプローチで若い方々にもホンダ車をご体感いただければと考えています。

 これらの取り組みの中でも、特にフィットはホンダの最新技術を多くのお客様にお届けできるよう、歴代でチャレンジを続けています。ぜひご体感いただきたいです」(田中さん)

「20年」という歳月を経て成長してきた

ホンダフィット

東京・青山にあるホンダウエルカムプラザ青山では、取材時、フィット20周年を記念して巨大なアルバムを模したオブジェが展示されていました

 ホンダの惜しみない創意工夫と技術を投入したフィット誕生から今年で20周年。最後にこれから先の未来への思いについて聞きました。

「この20年間、フィットは本当に多くの方の日常生活のパートナーとしての役割を果たしてきたと思っています。もちろん、これからも世界中の人々の日常生活に最も寄り添えるクルマであり続けたいと考えています。

 世の中が大きく変わり、クルマの有り方も大きく変わりつつある今ですが、仮に動力がエンジンからモーターに代わったとしても、フィットの存在価値そのものである『人々の日常生活に寄り添うパートナー』『心地良さを持つクルマ』はこれから先もずっと変わらないと考えています

 20代の方にとって、フィットは生まれたときから身近にいるクルマだったと思います。皆さんが大人になったように、フィットも20年という歳月をかけて成長してきましたので、これからは育てていただいた世界中の方々にさらに恩返しできるような存在になりたいと考えています」

 開発者の話から、フィットはいかにもホンダらしくストイックで、人々に寄り添うために開発されたモデルだったことがわかりました。モビリティにまつわる移り変わりが激しい今だからこそ、シンプルかつ高性能のコンパクトカー・フィットは、改めてその存在価値に評価・注目が高まるのではないかとも思いました。

<取材・文/松田義人>

音楽事務所、出版社勤務などを経て2001年よりフリーランス。2003年に編集プロダクション・decoを設立。出版物(雑誌・書籍)、WEBメディアなど多くの媒体の編集・執筆にたずさわる。エンタメ、音楽、カルチャー、 乗り物、飲食、料理、企業・商品の変遷、台湾などに詳しい。台湾に関する著書に『パワースポット・オブ・台湾』(玄光社)、 『台北以外の台湾ガイド』(亜紀書房)、『台湾迷路案内』(オークラ出版)などがある

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