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副業初心者がハマりがちな「ネット転売セミナー」の甘い罠

コラム

 某飲食チェーン店の店長を務める澤井康さん(仮名・34歳)が話してくれた副業の失敗話。

 それは今や働く者の手軽な副業として定着している「ネットオークション」を利用した転売ビジネスでした。

真面目に働いても一向に昇給せず…

エプロンをつける店員

※画像はイメージです(以下、同じ)

「仕事はどんどん厳しくなるのに、収入は一向に上がらなくて……。かといって朝から深夜まで店にいるから、副業といってもできることが限られているんですよ」

 店長という肩書はあっても飲食チェーン店の雇われで、収入は同年代の平均以下。大学の友人たちとは、ずいぶんと差をつけられてしまいました。せめて好きな服くらいは自由に買いたいと、澤井さんは自分ができる副業を探し始めたそうです。

「ちょうどその頃バイトの女の子たちが、Supremeのスニーカーを転売して儲けたという話をしていたんですよ。聞くと彼女の先輩が転売ビジネスをしているとか。売れ線のアイテムや仕入れ先を教えてもらって、それで楽に稼ぐことができたそうなんです」

 澤井さんは彼女たちに教わり、その先輩の転売レクチャーサイトを覗いてみました。今まで愚直に仕事をこなしてきた澤井さんにとって、その稼ぎっぷりは衝撃でした。

「その先輩はモンクレール、シャネル、プラダといった海外ブランドを得意としていました。日本未発売のレアなアイテムを海外の激安通販サイトから仕入れて、高値をつけて国内のオークションサイトに出品するんです。1点につき数万円もの差額を稼いでいましたね」

 ネットに繋がっていれば仕事の合間でもできるという、澤井さんにはうってつけの副業でした。しかも賛否両論ありますが、「空売り」と呼ばれる客の注文を受けてから仕入れをする方法を取れば、在庫を抱えるリスクもありません。

20万円を支払い、転売セミナーに参加

セミナー イメージ

 さっそく澤井さんは、その先輩が開催する転売セミナーに参加したそうです。

「知り合いの知り合いということで、優先的に教えていただきました。売れ線のアイテムとか、仕入れることができる海外通販サイトとか。特に仕入れ先のサイトは中国語表示ですが、セミナーで方法を教わると英語翻訳版を見ることができるんですよ。これだけでも全然違いましたね」

 そんな至れり尽くせりの転売セミナー、当然ながらタダなわけではありません。

「セミナーの参加費はお支払いしましたが、それだってたったの20万円。もっと高額な教材を売りつける詐欺まがいの転売屋もいるそうなので、かなり良心的だと思いました」

 かくしてプロのレクチャーを受けた澤井さんは、仕事の合間にノートPCで出品や注文のチェックを始めました。計算では、数回の転売成立でセミナー代が回収できるとのこと。

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