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韓国から撤退、赤字ギリギリだった「グローバルワーク」が復活できたワケ

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時代を読む力に期待したいところ

 ただし、2023年1月期第1四半期において1億4300万円の営業利益(前年同期は3億6500万円の営業損失)を出しました。ゼットンは葛西臨海公園の飲食事業者に認定されており、バーベキュー場の運営もしています。コロナ禍でアウトドア産業は活況となりました。

 ゼットンはサウナ事業への進出を計画していると言われている通り、時代を読む力のある企業です。既存の事業に固執することなく、新たな取り組みを行える身軽さは強みでしょう。

毎期2億円程度の償却費が発生?

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 ただし、ゼットンの業績面では買収元アダストリアの下押し要因となる可能性はあります。ゼットンの2023年1月期の売上高は90億円、営業利益は5億8000万円と予想。営業利益率は6.4%となる見込みですが、コロナ第7波が到来しており、飲食店への影響が心配されています。予想通りに着地できるかわからなくなりました。

 また、のれん(合併・買収の際、買収額のうち相手企業の純資産額を上回る部分のこと)の償却費も利益の圧迫要因となります。アダストリア2021年2月末時点でののれんは1億1300万円でしたが、2022年2月末に18億9700万円まで膨らみました。これはゼットン買収によって生じたものと考えられます。

 仮に10年で償却する場合、毎期2億円程度の償却費が発生します。のれんの償却費を加味した場合、ゼットンの収益性はそこまで高くありません。その一方で、タッグを組んで推進するサウナのような新たな事業展開には期待できます。ゼットンを買収した後の事業展開と業績に注目が集まります。

<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。現在はコンサルタントという名の中小企業経営者のサンドバッグ役を務めるかたわら、経済の面白さを広く伝えるため、開示情報を分析した記事を書いている。好きな言葉は美食家・北大路魯山人の「硬め、麺少なめ、ニンニクマシマシ」

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