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韓国から撤退、赤字ギリギリだった「グローバルワーク」が復活できたワケ

ビジネス

Webの売上構成比率を戦略的に上げた?

アダストリア

EC売上構成比率※決算説明資料より抜粋

 国内事業が堅調な要因のひとつに、Webでの販促活動が奏功していることが挙げられます。売上高全体に占めるECの割合はコロナ前から上昇基調にあり、2022年2月期のEC売上構成比率は3割に達しています。

 Webでの売上が伸びるのは利益面でも有利です。アダストリアの2018年2月期の設備費は462億1700万円で、売上高の20.7%を占めていました。2022年2月期は378億3000万円。売上高に占める割合は18.8%まで低下しています。

 そんなアダストリアが苦戦しているのが海外事業で、注力エリアだったアジアの売上が戻りません。2021年12月期の香港の売上高は前期比8.9%増の23億2000万円。2019年12月期に売上高を大きく落としましたが、そこからの回復が鈍化しています。

アダストリア

海外事業エリア別売上高※決算説明資料より筆者作成

 2021年12月期に韓国からは完全に撤退しました。中国大陸はやや戻しているものの、ゼロコロナに固執する中国で今期の売上高を伸ばすのは難しいでしょう。

「ゼットン」の買収は吉と出るのか?

 アダストリアは、2021年12月に大勝負に出ました。外食企業である株式会社ゼットンの子会社化すると発表したのです。ゼットンの2022年2月期の売上高は前期比2.1%減の46億1900万円、11億7900万円の営業損失(前年同期は16億9200万円の営業損失)を計上しています

 ゼットンが運営するハワイアンレストラン「アロハテーブル」はアルコール依存度がやや高い業態です。飲み会需要の縮小を真正面から受けています。また、徳川園などの結婚式場を運営しているものの、ウェディングの専門企業ではなく、大型の施設を高稼働させるタイプのビジネスモデルではありません。

 徳川園は広大な日本庭園にある歴史的な邸宅を結婚式場に改装したもので、大・中・小規模の披露宴に細かく対応できる専門式場ではありません。一方、結婚式業運営大手のテイクアンドギヴ・ニーズ(T&G)は営業利益が出るようになっています。

 これは延期していた結婚式が秋から春にかけて一気に実施へと動いたため、高回転に対応できる施設、ノウハウがT&Gにはあったからです。そうでなければ披露宴を回し切れず、歴史的建造物を結婚式場に改装して差別化を図っていたゼットンは、ウェディング事業でも苦戦が予想されます。

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