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雪印は出遅れた?“牛乳離れ”に苦しむ乳業メーカーの生き残り戦略

ビジネス

 近年では1人当たりの乳製品消費量が増えているものの、人口減少に伴う競争激化によって牛乳・チーズ・バターなどを生産する乳業メーカーの業績は伸び悩んでいるようです。特にコロナ禍では内食需要に支えられた一方、反動による需要減にも苦しみました。

牛乳を注ぐ

画像はイメージです(以下同じ)

 既存製品の限界を打開すべく、各社は健康志向商品の拡充や海外進出を進めているようですが、業績拡大につながるのでしょうか。各社の動向や消費者をとりまく環境から、大手乳業メーカー3社の今後について予想してみます(※3社とも2022/3期に会計基準変更)。

明治HD:医薬品事業も展開

 明治ホールディングスでは、かつて明治乳業だった「株式会社明治」が乳製品を生産しています。代表的な商品には「明治おいしい牛乳」や「明治ブルガリアヨーグルト」、「明治北海道十勝チーズ」などがあります。

 HD全体では食品セグメントと医薬品セグメントに分類されており、食品セグメントには(1)ヨーグルト・チーズ事業、(2)牛乳事業、(3)業務用食品事業、(4)海外事業が含まれています。医薬品セグメントでは主に動物・ヒト向けワクチンのほか、鼻炎や精神疾患を対象とした通常の医薬品を生産しています。2019/3期から22/3期までの業績は以下の通りです。

【明治ホールディングス(2019/3期~2022/3期)】
売上高:1兆2544億円→1兆2527億円→1兆1918億円→1兆131億円
営業利益:984億円→1027億円→1061億円→929億円
最終利益:619億円→673億円→657億円→875億円
食品セグメント売上高:1兆0566億円→1兆0495億円→9996億円→8260億円
医薬品セグメント売上高:1986億円→2043億円→1936億円→1879億円

コロナ禍でもコストカットが成功

目地

©Nagahisa_Design

 2020/3期は前年同様、チーズ・バター類の加工食品や「ザバス」などのプロテイン、栄養食品が伸びた一方、割合の大きい牛乳・ヨーグルトは横ばいとなり、食品セグメント全体では横ばいとなりました。医薬品セグメントは前年に取得した海外子会社の通年計上や増収で伸びています

 翌2021/3期はコロナ禍での運動不足解消を狙った健康食品(「ザバスミルクプロテイン」など)や、内食需要によるチーズ類の販売が伸びましたが、外出控えで菓子類の販売が大幅減収となりました

 主力の牛乳・ヨーグルト類も、競争に伴う一部商品の撤退、販売エリアの縮小で落ち込み、食品セグメント全体では減収となっています。なお、利益面では販促費を抑えるなどコストカットが成功し、前年並みの利益をあげています。医薬品セグメントは薬価改定やコロナによる受診控えが影響するなど、他の医薬品メーカーと同様の理由で減収となりました。

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