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ヤフーから独立、オリジナル家具屋に。「50兆円市場に挑む」29歳の素顔

ビジネス

ミレニアル世代の起業家たち【連載第3回】

 大手企業をやめて、高学歴を捨てて……自らの手で新たな道を切り拓いてゆく、若き起業家たち。彼、彼女らのエピソードからミレニアル世代の働き方を考える。

 新卒で入社したヤフーを3年半で退社。ベンチャー企業や、海外への語学留学を経て、家具を1cm単位でオーダーメイドできるユアニチャーを2017年に創業した峯浦望さん

峯浦望

ユアニチャー株式会社代表取締役CEOの峯浦望さん

 29歳にして同社の代表取締役CEOを務める彼だが、もともと「起業することを本気で考えたことはなかった」と語る。一体、なぜ起業家の道を進むことになったのか?

「ヤフーでできることは3年でやり尽くした」

――新卒で入社したヤフーではどのような仕事を?

峯浦望(以下、峯浦):2012年に入社して2年間、広告の部署で営業マンをしていました。それから社内でキャリアチェンジして、ブランディングを行う部署で1年半働きました。

 大手広告代理店から転職してきた上司のもと、ネット広告やヤフーという企業について周知してもらう「Yahoo! Future AD project」というプロジェクトに携わっていました。

――具体的にどのようなプロジェクトだったのですか?

峯浦:目の見えない人のために検索結果が3Dプリンターで出力される「さわれる検索」や、「Yahoo! JAPAN リアルタイム検索」の検索結果をもとに生成されたコースを、ジェットコースターとして体感できる「ヤフートレンドコースター」など、インターネット広告の未来を感じられるアトラクションを作成しました。

――ヤフーを退社したのはなぜでしょうか?

峯浦:正直、この会社でできることはやり尽くしてしまったという思いと、トレンドコースターなどの仕事を通して、何か形に残る仕事がしたいと思い、IoTや物づくりに関心が湧いたんです。

家具市場は世界で50兆円の可能性がある

峯浦望

大学卒業後、ヤフーに入社した峯浦さん。ブランディング部署への異動は「社内でも異例だったため1年間は広告営業と兼務だった」と語る

――そこからオーダーメイド家具販売サイト「Yourniture.」を運営するユアニチャーを創業したきっかけは?

峯浦:そもそも東京で賃貸に暮らしている人って、厚生労働省が出している「人が生活するには、これくらいの面積が最低必要だ」って基準を約3割が満たしていないんです。

 アメリカのニューヨークや、イギリスのロンドンなど先進国の大都市はほぼ似た傾向があるのですが、なかでも東京は突出していて。なので、そういった狭い空間を有効に活用できるオーダーメイドの家具が必要だと思ったんです。

――たしかに、採寸ボディスーツの「ZOZOSUIT」みたいにオーダーメイドで注文可能な家具があれば、便利ですよね。

峯浦:しかも家具って生活するのに絶対必要ですし、世界的な市場も50兆円と言われていて、これはもうチャレンジするしかないと。ただ、ユアニチャー自体は、もともと別の方が経営していた会社でした。

――あ、そうだったんですね!

峯浦:ただ、経営がうまくいっていなかったので、当時僕が働いていたベンチャー企業の「KAMARQ(カマルク)」代表の和田(直希)が買い取ったんです。それを去年の5月頃に、「やってみないか?」ということで任されたんです。

 なので、まずは業務の見直しや作業効率の改善から手をつけました。これまで家具メーカー相手のB to Bビジネスだったのを自社で製品を作るB to Cに変更し、あとはこれが大きかったのですが、職人が半月から1か月かけてやっていた見積作成や図面書きをシステム化して1秒、ゼロ円でできるようにしました。

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