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「執着が強いんです」田中俊介32歳が明かす“自身にとっての宝物”

暮らし

 1970年代に既存の作品とは一線を画す傑作の数々を生みだした「日本アート・シアター・ギルド(ATG)」を彷彿とさせる独自の世界観を踏襲しながら、「記憶」をめぐるラブストーリーの要素を差し込んだ映画『餓鬼が笑う』が全国順次公開中です。

 主人公・大貫大は、ある日、ひどく頭を殴られ意識を失ったことをきっかけに、あの世とこの世を行き来し始めます。大を演じているのは、内田英治、白石晃士監督作品などに出演し、俳優としての存在感を増している田中俊介さん(32歳)

田中俊介

田中俊介さん

 独自の世界観を持った本作に主演した田中さんに、作品の印象や「演じる」ことへの思いなどを聞きました。

脚本を読んで「なんじゃこりゃー!」

餓鬼が笑う

『餓鬼が笑う』(C) OOEDO FILMS

――なかなかに不思議な作品でした。脚本を読まれたときの感想を教えてください。

田中俊介(以下、田中):「なんじゃこりゃー!」と思いました(笑)。いい意味で「変な映画になりそうだな」と思いましたね。大貫大として、この世界に彷徨える機会をいただくなんて、そうそうやってこないことですし、この不思議な世界を、平波亘監督はじめ、スタッフさんみなさんと作れる。断る理由なんて全くないと思いました。

――大になるためには、一緒にその世界に迷い込んだ感じですか?

田中:現場に飛び込んで、彷徨っていけば、自ずと大になっていくんじゃないかと思いました。大変なシーンもあったはずですが、僕自身は大変だったとは思っていないです。ただ共演した山谷花純さんが、1週間くらい撮影が空いたときがあって、久しぶりに会ったときに「めちゃくちゃ頬がこけたけど大丈夫?」とは言われました。いろんな方のエネルギーを浴びて、知らない間に消耗してたのかもしれないです。それがいい意味で作品に出ていたらいいんですけど。

運命的な出会い、「してみたい」

田中俊介

――前衛的で挑戦的な作品ですが、本屋さんで佳奈(山谷)と運命的に出会うなど、ロマンチックな部分もある作品です。田中さんはそんな運命的な出会いに憧れますか?

田中:そんなのあったら胸キュンしまくります。会ったこともないはずの人とすれ違って「あれ、懐かしいな、あれ、この子?」みたいな経験してみたいです。お互いに「あれ?」ってなって、目が合って。憧れます、はい。でもそういうラブストーリーの要素も入っているから、この映画は見やすくなっていると思います。

――田中さんは、演じるときに役と自分が溶け合う感じですか?

田中:うーん、どうなんでしょう。僕もよく分からないです。結局は自分なんでね。いろんな役を演じることって、新しい自分を見つけることでもあると思っていて、そういう経験を増やしていくことで、自分自身を豊かにしていけば、いろんな表現ができるようになると思うんです。その都度新しい自分を見つけて豊かにしていけば、それが役として表に出ていくのかなと。役になりきるとか、そんな特殊能力は僕にはないです。

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