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初挑戦はわずか1年で撤退。女性が行列「東京たらこスパゲティ」出店の裏側

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 から揚げ専門店やサラダ専門店、焼売専門店など、飲食店の専門化が加速するなか、大ヒットした業態として名高いのが2020年1月末にオープンしたたらこスパゲティ専門店「東京たらこスパゲティ」だ

東京たらこ

フィルドテーブル株式会社 代表取締役社長の中島 宗則氏

 SNSで大きな話題を呼び、渋谷宮益坂の店舗は連日大行列ができるほどの人気を博した。そのほとんどは女性の客層となっているのだ。なぜ、ごく一般的なメニューであるたらこスパゲッティに、多くの女性が虜になるのだろうか。

 東京たらこスパゲティを運営するフィルドテーブル株式会社 代表取締役社長の中島 宗則氏に、同業態が生まれた背景や今後の展望について話を聞いた。

専門学校を卒業後、和食とイタリアンを学ぶ

 中島氏は料理の専門学校を卒業後、地元・埼玉の和食店で3~4年間修行を積み、その後はイタリアン料理店で料理の腕を磨いたという。

「専門学校卒業後、最初に料理人として勤めたのは、結婚式場の中にある和食料理屋でした。そこでは時折、ブライダルフェアを開催していたんですが、あるときイタリア人シェフを招いて、コース料理を作る機会がありました。

 ずっと和食を作ってきた自分にとって、イタリアンを作るのは新鮮で『次はイタリアンを学びたい』と思うようになったんです。そこからイタリアン料理店へ入り、そこでも3~4年ほど現場で経験を積んでいました」

 飲食店にて和食とイタリアンを学んだ後、中島氏はチェーン展開している飲食企業へとキャリアを歩む。そこでは店舗に立って料理を作る仕事ではなく、料理人の育成や店舗指導を行うスーパーバイザーとして従事していたそうだ。

初めて挑戦した業態はわずか1年で撤退

東京たらこ

厨房で料理する中島氏

 アークランドサービス(現 アークランドサービスホールディングス)に入ったのは2004年。転職したきっかけは「メニュー開発からコンセプト決め、店舗の経営まで全てやらせてくれる会社を探していた」と中島氏は話す。

「当時のアークランドは、ファミリーレストランのCASA(カーサ)やサンマルクのFC展開をしていた頃で、レストラン経営のノウハウを吸収していたタイミングでした。FCビジネスで得た知見をもとに新しい業態を開発し、事業を拡大していく時期だったこともあり、『自分の思い通りの環境が用意されている』と思い、入社したのを覚えています」

 中島氏が最初に挑んだのは、これまで和食やイタリアンで学んだ本格的な料理の技と、チェーン店で学んだ経営術を掛け合わせた業態だった。だが、打ち出したコンセプトとユーザーニーズがずれてしまい、なかなか魅力が伝わらずに苦労したそうだ。

初めて挑戦した業態は1年くらいで撤退を余儀なくされました。その失敗を糧に、次に携わった業態が今でも店舗展開を続けているイタリア料理のカジュアルレストラン『チェントペルチェント(Cento per Cento)』でした。その後もタイ料理レストランなど、さまざまな業態を経験しましたが、2016年に新業態開発を目的にした会社『フィルドテーブル』を設立し、代表取締役社長に就任することになったんです」

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