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SKE48髙畑結希がファンから“社長”と呼ばれる理由とは?元OL出身の異色アイドル

学び

SKE48 Team Eの髙畑 結希さん

日本のポップカルチャーとして、今も昔も親しまれる「アイドル」。

その多くは、中学生や高校生といった10代の学生時代から芸能活動を始め、アイドル然とした振る舞いや実力を備えていく。

いわば社会人経験がないままアイドルになり、その道を進んでいく人が多数派だとも言えるだろう。

そんななか、名古屋・栄を拠点に活動するアイドルグループ「SKE48 Team E」(以下、Team E)のメンバーのひとりである髙畑 結希さん(27歳)は、元OL出身という異色の経歴を持っている。

ファンからは“はたごん”の愛称で親しまれ、アイドル活動のほか、cookpadでのクッキング配信やラジオ出演、落語など幅広い活躍を見せている。

髙畑さんに学生時代のエピソードや社会人で学んだこと、Team Eにとって約7年ぶりとなる新公演『声出していこーぜ!!!』への意気込みを語ってもらった。

OL時代に学んだ社会人としての「振る舞い」や「マナー」

香川県出身の髙畑さん。小学生の頃は教室の中で遊ぶよりも、外の運動場で友達とドッジボールをして遊ぶ活発な子どもだったそうだ。

それが中学校に進学すると、「思春期のせいもあって、シャイで恥ずかしがり屋だった」と当時を振り返る。

「部活動はバスケ部に入っていて、結構練習を頑張っていたものの、なかなかレギュラーになれなくて。中学3年生になって、最後の試合でようやくレギュラーになれたんですが、肝心なときに太ももを骨折してしまったんですよ。それでも、中学校でバスケを辞めることは決めていたので、太ももにテーピングをし、痛みを我慢して必死にディフェンスしていたのを覚えています。シャイだったけど、負けず嫌いな性格でしたね」

高校進学後、今度はアルバイトに精を出すようになる。学校の授業が終わると、すぐさまバイト先へ駆けつけ、接客の仕事に励む日々を送っていたとのこと。

「高校時代は卵かけご飯専門店とお好み焼き専門店で働いていました。賄いで作ってくれるご飯が美味しくて、毎回楽しみにしていましたね」

髙畑さんは高校を卒業したのち、香川県の会社へ就職する。
そこで学んだのは、社会人としての「振る舞い」や「マナー」だった。

「高校時代のアルバイトや就職先の企業も、先輩と一緒にいることが多く、先輩を見て色々と学んでいました。挨拶の仕方や人との接し方、上下関係を大事にするなど、社会人としての基本がこのときに身についたなと思っています」

こうしたなか、髙畑さんの心の中には「香川から出たい」という漠然とした思いがあったという。

「香川から出るためにはどうしたらいいんだろうと考えたときに、うっすらと芸能の仕事がやりたいなと思っていて。当時から芸能の仕事に少しだけ憧れがあったんです。そう感じていたときに、偶然にもSKE48の7期生オーディションの広告を見つけて。これはいい機会だなと思って応募してみたんです」

オーディション会場に着ていった思い出の“勝負服”

1次の書類審査を通過し、2次の面接審査へと進んだ髙畑さんだったが、オーディション会場に着ていった服が“お母さんみたいな格好”だと言われたエピソードがある。

というのも髙畑さん自身、名古屋のような都会に行くのは初めての経験であり、「どんな格好をすればいいかわからなかったから」だという。

「正直言って、まさか自分が受かるとは思っていなかったので、どういう服装がいいか本当に悩んだのを覚えています。それでも、一番おしゃれなファッションで行こうと、新しいワンピースと真珠のネックレスを買ったんですよ。そしたら『授業参観に来るお母さんのような格好みたい』だと言われて(笑)。ちょっとショックでしたが、今振り返ると懐かしい思い出ですね」

それでもSKE48第7期生オーディションに合格した髙畑さんは、2015年6月に研究生としてSKE48Team Sの『制服の芽』公演アンダー(正規メンバーが休んだときの代役として出ること)で、SKE48劇場の舞台デビューを果たす。

そして2016年11月には正規メンバーへ昇格、同年12月にTeam Eとしての活動を開始。

社会人を辞め、アイドル活動を始めたわけだが、「OL生活とのギャップ」を感じたことはなかったのだろうか。

「始めの頃は同期がみんな年下だったために、どう接したらいいかわからなかったんです。でも途中から、変に年上だからという考えはやめて、友達のように接するように意識しました。そのおかげで、今では同期とも年の差を気にせず、同じ目線でなんでも話せる仲になりましたね」
総選挙のランクインがなかったら今の自分はいなかった

ファンからは“はたごん”と呼ばれる髙畑さん、実は“社長”という別のニックネームもある。

元OLという肩書きを生かし、「髙畑商事」や「会社説明会」とユニークなネーミングで、ファンとの交流を図っているが、「“社長”という呼び名は、ファンの方が考えてくれた」と髙畑さんは語る。

「私が会社員をしていたこともあって、握手会のときにファンから『雇ってほしい』と言われたことがあって。自分が正規メンバーに昇格した際には『髙畑商事の社長になったね』と言われ、それが呼び名として定着していった感じです」

そんな髙畑さんにとって、アイドルとしての転機になったのがAKB48選抜総選挙でのランクインだ。

2017年、2018年と連続でランクインしたのがきっかけで、「髙畑結希」の知名度が上がり、アイドル活動に拍車がかかった。

「ランクインがなかったら、今の自分はなかった」

それくらい、髙畑さんにとっては重要なターニングポイントだった。

「昔と比べれば、ファンの方からも『表情が明るくなったね』と言っていただけるようになりましたが、今でも自信がないと感じている部分もあります。でも、ひとつ言えるのは『肩の力を抜く』のを意識したことで、だいぶ楽になれたことです。研究生の頃は、毎週金曜日に必ずSHOWROOMでライブ配信したり、定期的にブログを書いて情報発信したりと、自分を追い込んでしまう部分もあって。

それが逆に荷が重くなり、空回りしていた時期もあったんですが、『絶対やらなきゃいけない』ことを減らし、固くなりすぎずにフランクな行動を心がけたところ、事がうまく進むようになりました。例えば、Twitterも告知の時だけツイートしていたのを、なんでも思いついたことは投稿したりと、ちょっとずつ素の自分に近づけていったんです」

自身初のオリジナル新公演に「毎日楽しくて仕方がない」

48グループ史上初となったメンバーとファンの合同レッスン「#SKE48ファン合同稽古」の様子

7月8日、9日には、Team Eのオリジナル新公演『声出していこーぜ!!!』に先駆け、48グループ史上初となるメンバーとファンの合同レッスン「#SKE48ファン合同稽古」を名古屋・栄のオアシス21 緑の大地にて開催。

なかには朝7時から並び、合同レッスンを心待ちにしていたファンの姿も見られた。

「こんなに多くの人が集まってくれるとは思いませんでしたし、素直に嬉しい気持ちでいっぱいでした。ファンの方と一緒に新公演の表題曲『声出していこーぜ!!!』の練習ができたのは、本番に向けて良い弾みになると思っています。天候が心配でしたが、幸いにもTeam Eには雨女よりも晴れ女の方が多かったみたいで(笑)。無事に雨が降らなくて何よりでした」

髙畑さんにとって、今回のオリジナル新公演は初めての経験となる。

「自分の衣装が用意され、ステージの立ち位置があるのはとても嬉しくて、楽しみで仕方がない」

そう話す髙畑さんは、意気込みを次のように語る。

「今回の新公演で披露する楽曲は、TAKAHIRO先生が振り付けを担当してくださった楽曲もあるのですが、私自身、ダンスがあまり得意ではなく、『今日はダメだった』と思うことも多くて。チームのメンバーからは『今日も頑張った』、『踊りきった』という声が聞こえてくるので、もっとダンスを練習して、公演初日を迎えるまでに自信をつけたいですね」

個人の目標としては「SKE48は地方出身の子が多く、地元で仕事したいと思うメンバーに背中を見せられるように頑張りたい」と抱負を述べる。

今までは仕事が忙しく、年末くらいしか香川へ帰省できなかったという。
現在は1ヶ月に1度、香川へ戻ってラジオ番組の収録を行っている。

「地元に帰ると『気持ち』が入れ替わるというか。地元で応援してくれる方たちと一緒に仕事することで『また名古屋でも頑張ろう』という気持ちになるんですよ。これってすごく大事なことで。SKE48には定期的に地元へ帰れていない子も多いですが、そんな後輩たちも地元で仕事してほしいなと思っているんです」

地元があって、今のアイドルとしての自分がある。
そのような思いを髙畑さんは持っているそうだ。

自分で考えた料理をキッチンカーで出してみたい 

また、SKE48にいる間に「自分の考えたオリジナルメニューをキッチンカーとかで出してみたい」という。

「一度、握手会のケータリングで、『自分で考えた料理を出してみたい』とファンの方に伝えたところ、『それはいいね!』と言ってもらえたので、キッチンカーのメニューを私が考えて、ファンの方に食べてもらえる機会が作れたらいいなと思っています」

髙畑さんは、“歳をとるほど若返る”と言われるほどに「可愛らしさ」を保つ努力を続けている。

加えて、周りのメンバーと被らないように髪型にも気を配り、チームの中で自分の“居場所”を示してきた。

これからも、持ち前の謙虚さや礼儀正しさが光るTeam Eの“愛されキャラ”として活躍が大いに期待される。

<取材・文・撮影/古田島大介>

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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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