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初挑戦はわずか1年で撤退。女性が行列「東京たらこスパゲティ」出店の裏側

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タピオカ粉を使用した独自の生パスタを開発

東京たらこ

東京たらこスパゲティの定番メニュー「炙りたらこのお出汁スパゲティ」

 そして、2020年1月末に東京たらこスパゲティがオープンするや、連日にわたって長蛇の列ができた。これほどまでの行列ができた一方、SNSで瞬間的に盛り上がったブームであれば、初速の勢いだけになってしまい、ほとぼりが冷めれば下火になる。

 そうならないために、お出汁をかけて食べるスパゲティという新しい食べ方を提案し、さらには生パスタのもちもちの食感や和風の味わいにもこだわったという。中島氏は「商品としての美味しさやクオリティをとことん追求した」と、継続的なリピーターを増やすために工夫した点をこう説明する。

「特にタピオカ粉を使用して生まれた独自の生パスタは“中毒性”のあるものに仕上がっていると思います。最初は乾麺で考えていましたが、お出汁をかけるとたらこや麺が全部流れてしまう。また、普通の生パスタも使ってみましたが、お出汁をかけると、ぐにゃぐにゃになってしまい、もちもちの食感を生み出すパスタを開発するのに苦労しました

 試行錯誤の末、たどり着いたのがタピオカでした。タピオカ粉を生パスタに練りこむことで、弾力性のあるもちもち感を生み出し、女性が好む食感を具体化できたんです。ただ、大切にしているのは業態を陳腐化させないこと。新しいたらこスパゲティの食べ方やスタイルを根付かせていくことを念頭におきながら店舗運営を行っています」

専門店だからこその料理に奥行きを

 1つのメニューに特化し、業態のコンセプトや魅力が伝えやすいのが専門店のメリットだろう。ファミリーレストランのように、メニューを広げれば広げるほど、奥行きを出しづらくなる。反対に専門店は個性を光らせることができ、発想力や提案力を発揮することで独自性を出すことが可能だ

「東京たらこスパゲティは『和食をパスタにしていくアプローチ』をとっていて、家庭料理や料亭料理などからヒントを得て、和食を掘り下げていくことを心がけています

 ただ、あまり独創的すぎるとお客様がついて来られなくなる。だからこそ、誰もが馴染みのあるたらこスパゲティというジャンルに絞っているんですね。誰もが知っている料理を、知らない形で提供する。そのなかで、自由に発想していくことで軸がぶれず、独自性を築いていくことができるんです

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