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“業界一強”ABCマートに直撃、強さの秘訣と「駅近に複数出店」するワケ

ビジネス

 スポーツブランドからハイブランドに至るまで、多種多様なスニーカーが販売され、活況を呈するスニーカー市場。靴小売業界の最大手であり、売上高や店舗数ともにトップをひた走るのがABCマートだ

エービーシー・マート

株式会社エービーシー・マート 販売促進部 部長の竹下泰史氏

 国内外1400店舗以上の販売チャネルを有し、また国内総代理店として企画から販売までを行うHAWKINS(ホーキンス)、VANS(ヴァンズ)といったブランドや、ナイキ、アディダスといったナショナルブランドの「ABCマート専売モデル」など独自性のある商品ラインナップを持っている。

 今回は、株式会社エービーシー・マート 販売促進部 部長の竹下泰史氏に、ABCマートが競合他社を差し置いて“業界一強”と言わしめる所以や大通り沿いに複数出店するワケ、今後の事業展望について話を聞いた。

輸入販売業から靴小売業へ転換した背景

エービーシー・マート

渋谷センター街にあるABC-MART GRAND STAGE 渋谷店

 1993年に入社した竹下氏は、渋谷にあるABCマートで販売スタッフに従事する。その後、大型店舗のマネージャーやSV(スーパーバイザー)を経験。2011年に本部へ異動し、2018年に現職へ就く。ABCマートが靴業界のトップランナーになった理由について次のように話す。

実はABCマートは最初、輸入販売商社から始まっています。1985年に創業し、輸入商社としてビジネスを営んでいました。その中のひとつである販売部門にABCマートという屋号で運営する小売店舗がありましたが、あくまで1つの部署という立ち位置でした。

 それが、当時から人気の高かったVANSの国内総代理店契約を1991年に結び、さらに1995年にはHAWKINSの商標権を取得し、2002年頃から自社のSPA(製造から企画、販売まで一挙に担うビジネスモデル)ブランドを拡大させていくため、ABCマートの出店強化へと舵を切ったんです」

HAWKINSのエンジニアブーツが大ヒット

エービーシー・マート

ABCマートが1991年に国内総代理店の契約を結んだVANS

 多店舗展開する前のABCマートは、上野にあるアメ横商店街と渋谷の地にそれぞれ4店舗を構えるのみだった。だが、この両店舗こそ、躍進を支える礎になっている。

1990年代初頭に大流行したのがハードアメカジ(通称 渋カジ)というファッションスタイルでした。いわゆる“チーマーファッション”の代名詞として一世を風靡し、ブーツブランド『レッドウィング』に代表されるようなエンジニアブーツやリングブーツに、ライダースジャケットを羽織る着こなしが大ブームになったんです。

 ABCマートでは、レッドウィングよりも半額近い値段で、本革のエンジニアブーツをHAWKINSで販売し、大ヒットを記録しました。あまりの人気に在庫が追いつかず、近くの倉庫に4tトラックで取りに行くほどでした

『お客さん、あと1時間でトラックが着くから待ってて!』と告知し、エンジニアブーツを載せた4tトラックが到着するや、一気に人だかりができるほどの勢いがありました。こうした人気商品がABCマートの知名度向上に寄与したと思っています」

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