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“詰める文化”のオープンハウス、銀行参入に潜む落とし穴/全宅ツイ

ビジネス

 都心部の狭小戸建開発を得意とするオープンハウス(本社・千代田区)が2021年8月5日、100%子会社のおうちリンクと住信SBIネット銀行との間で、銀行代理業委託契約を締結したと発表しました。

オープンハウス渋谷営業センター

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不動産と金融をまたぐ意外な展開

 このニュースに対して、驚きの感想を述べるのが、現役金融マンの金融アスペ君@samayou_banker)さんです。

 オープンハウスは8月13日に発表した2020年10月~21年6月期連結決算の純利益が、前年同期比22%増の510億円、時価総額は6600億円を超えるなど急成長モードに入った伸び盛りの企業として知られています。

「勢いのある企業とはいえ、まさか銀行代理業の許可を取得して不動産と金融という畑違いの領域をまたぐ事業展開に打って出るとは予想しませんでした。不動産×金融といえば、ネットや店舗で住宅ローン商品を販売する『モーゲージバンク』という業態のARUHI(アルヒ)がありますが、アルヒは窓口を担うことでローン手数料を稼ぐビジネスモデルです。

 一方、オープンハウスは不動産会社なので、手数料よりは本業の自社開発物件の販売サポートを狙った銀行代理業の許可取得と思われます。両社はともに住信SBIネット銀行の代理ですが、直接の競合とはならないでしょう」(金融アスペ君、以下同)

ローン関係の手続きをワンストップで

不動産営業

※イメージです(以下、同じ)

 これによる販売現場での恩恵を、次のように予想します。

「今までオープンハウスは単に住宅を売るだけでしたが、今後、同じ窓口で住宅ローンや公共料金引き落としも扱えます。

 売買契約後のローン申込みをどこの銀行に頼むかはお客側の裁量でしたが、早く決済にこぎつけたいオープンハウス側と顧客に温度差があります。そこで売買契約と一緒にローン関係の手続きもワンストップで完結すれば、スピード感を損ねず完走でききるわけです

 それだけに留まらず、提携をきっかけにさらなる展開の見通しも。

「今後、考えられる展開としては、独自の提携ローンを開発することで、従来ではローン付けが難しかった顧客層の取り込みや、都心一等地だけどものすごく狭小な土地の開発が加速するかもしれませんね」

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