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深夜3時の叫び声の正体は…28歳が入居半年で「強制引っ越し」になるまで

コラム

 引っ越し先の物件探しで重要なポイントが「近隣住民」ではないでしょうか。実際、内見時に部屋に隣接する住人の性別や年齢、生活スタイルなどをそれとなく業者に聞く人は少なくありません。

引っ越し

※イメージです(以下同じ)

 ただ、間取りや日当たりなどと違い、住人の情報はプライバシーの観点から事前に知られることは限られているケースが多いです。さらに、入居前は「大丈夫」と感じても、いざ入居すると近隣住民の環境や心身の状態が変わってしまうこともあります。

 今回は、入居わずか半年で引っ越さなければならなくなった杉島太一さん(仮名・28歳)に降りかかった近隣住民とのトラブルについて聞きました。

郊外にある好物件。静かな環境に大満足

 中堅通信会社に勤める杉島さんが、福岡支店に移動する際に決めたのが事務所から自転車で20分ほどの郊外にある賃貸マンションでした。1階ではあるものの角部屋で南向き、1LDKで家賃も5万円台ということで、内見してすぐに決めたといいます。

「東京本社からの引っ越しということもあり、地方の価格の安さに驚きましたね。都心部であれば同じ間取りで家賃が倍なんていうのも珍しくありませんし。私は音に敏感なので、静かな周辺環境にも満足していました。上と隣の住人についても、私と同じ独身の会社員ということで生活リズムも同じなので、音も気にならないだろうと考えていました」

 実際、引っ越して数ヶ月の新生活はとても充実していたといいます。

「ご飯もお酒も安いし美味い。幸い、異動先の仲間とも相性が良く、広々とした住環境のおかげでストレスフリーでした」

 その生活が一変する出来事が起こったのは、入居しておよそ半年が過ぎた頃でした。

深夜3時の訪問者は上階の住人だった

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「8月中旬ごろですかね、睡眠中にチャイムが鳴って目を覚ましたんです。時刻は夜中の3時。最初は寝ぼけたのか、夢だと思いました。でも、またすぐにチャイムが鳴って現実だと気づきました。寒気がして、一気に目が覚めましたね(笑)」

 最初は無視を決め込んでいた杉島さんですが、何度も鳴らされるチャイムに痺れを切らしてドアスコープを覗いたといいます。しかし、スコープの向こう側は真っ暗。おそらく、指で隠していたのではないかと杉島さんは予想します。

「多分、訪問者は私がドアに近づく音や気配で向こう側にいると気づいたのだと思います。すぐに私と同じくらいの男の声で『すいません。上の階の者ですが、音がうるさいので静かにしてもらっていいですか』と言われたんです。驚きましたよ、私は熟睡していたので音なんか立てているわけがないんですから」

 杉島さんはその旨を伝え、一度は帰ってもらったといいます。しかし、30分後には再びチャイムが鳴り、上の階から叫び声が聞こえてきました

「それから数日に一回のペースでやってくるようになり、本当に困りました。最終的には、『待ち伏せされていたらどうしよう』という猜疑心まで生まれてしまい、精神的におかしくなりそうでした。実際、帰宅時に自室の前の廊下に設置している消火栓が入っている扉が開いているときは『いるんじゃないか』と思い、職場の先輩に電話をかけたこともあります」

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