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企業型確定拠出型年金の「落とし穴」。絶対に知っておくべき3つのリスク

コラム

 2020年に世間を賑わせた「老後2000万円問題」をきっかけに資産形成に興味を持ち、実際にiDeCoやNISAを始めた会社員は少なくないはずだ。企業が掛け金を支払い、従業員が運用する「企業型確定拠出年金(企業型DC)」も代表的な資産形成の一種だ。

確定申告

※画像はイメージです(以下同じ)

 2021年3月末時点でおよそ750万人が加入している企業型DCだが、厚生労働省の2022年11月の調査によれば、従業員のリテラシー不足が原因で、運用機会を損失している人がおよそ112万人もいることが明らかになっている

 しかも機会損失だけならまだしも金銭的にも「損」する可能性も非常に高い。需要が拡大しつつある企業型DCについて、会社員であれば知っておくべきだろう。完全独立系の芙蓉宅建FPオフィス代表で、金融リテラシー向上を目的とした活動を行っている大野翠氏に企業型DCのイロハをうかがった。

確定拠出年金(DC)とは何か?

――そもそも確定拠出型年金、企業型DCとはなんでしょうか?

大野翠(以下、大野):確定拠出年金(DC)は、従業員個人が運用商品を選び運用する商品。そのため、運用結果の責任は従業員個人が負うことになります。多少の金融知識は必要であり、自身の老後資金を担う大事な資金となるため、DC加入時には金融リテラシーや経済について学んでおくことが望ましいです。

 企業によっては、金融機関職員など外部講師を招き、企業型DCや年金制度についてのセミナーを自主的に実施しているところもあります。企業型DCの最大のメリットは、転職等による途中退職での移換が比較的スムーズに行える点です。転職先に企業型DCがあれば、そのまま移換でき、ない場合は個人型DC(iDeCo等)へ移換できます。

これまでの企業年金と何が違う?

大野翠

芙蓉宅建FPオフィス代表の大野翠氏

――では、これまでの企業年金とはどのような制度でしょうか? また企業型DCとは何が違うのでしょうか?

大野:企業年金は、あらかじめ決められた年金額が確保されているため、個人の金融知識は問わないという点が企業型DCとの大きな違いです。個人の金融知識に左右されず、確実に老後資金として備えられるメリットがあるとも言えます。

 また、中途退職時には、企業年金を一時金として受け取ったり、個人型DC(iDeCo等)へ移換することも可能です。またその際は、脱退一時金(退職後に一時金で受け取る企業年金の資金)を充当することになります。

 とはいえ、ひと昔前のように、入社後は定年退職まで転職しないという風潮は薄れつつあるため、企業型DCのように転職時もスムーズな手続きができる仕組みは、現代社会にマッチしているのではないでしょうか。

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