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企業型確定拠出型年金の「落とし穴」。絶対に知っておくべき3つのリスク

コラム

企業型DCとiDeCoの違いとは?

――企業型DCとiDeCoについて教えてください。

大野:iDeCoは転職などで企業を辞めた際の資産の移管先となる「個人確定拠出年金」の代表的な存在です。拠出も運用も個人で行うことが企業型DCとの大きな違いですね。2022年の法改正により、マッチング拠出を選択している場合などの一部例外を除いて企業DCとiDeCoの併用が可能になりました。

 ただし、企業型DCとの兼ね合いでiDeCoの掛金に上限が設けられる可能性もあるので注意が必要です。また、2024年12月からiDeCoの掛金上限額は、「月額5.5万円―(各月の企業型DCの事業主掛金+DB 等の他制度掛金相当額)」(月額2万円が上限)に統一されます。

 手数料などの影響で「併用したら必ずお得になる」とは断言できませんが、iDeCoも企業型DCも全額所得控除の対象になるなどの税制優遇が設けられているため、他の投資方法と比べても優先的に検討して間違はいないでしょう。

現状はあまりにも「もったいない」

年金

――企業型DCの現状を識者の視点からどうお考えですか?

大野:いろいろと課題はありますね。例えば、企業型DCは運用商品を従業員が選ぶため、マネーリテラシーによって結果に差が生まれやすいです。これはマッチング拠出でも同様です。

 そもそも国民のマネーリテラシーが低いので、結局は一部のリテラシーや老後資金の意識が高い人しか上手に活用できない状況でその最たる事象が「112万人が放置」なのだと思います。実際、セミナーなどでは「社内に企業型DCを含め金融知識に詳しい人が少ないから相談相手がいない」という声も耳にします。

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