渡辺徹、安心するナレーションの裏側とは「仕事はクリエイティブ」
映像は見ず、リハーサルもしない
「例えば宇宙ものをやる時と、動物ものをやる時、歴史ものをやる時など、それぞれ異なるトーンでナレーションをあてています。テクニック的に声の質を変えるとかではなく、気持ちの有り様を変える。宇宙の時には無機質でやってみたり、動物の時にはちょっと見守る声にしてみたり」
事前にあえて映像は見ず、リハーサルもしないという渡辺さん。台本を読むだけで臨む「一発本番」で、「初めてみた新鮮さを、そのまま届けたいと思っている」と。
「『すると、なんとそこには……!』って、本当に驚きたい。もちろん読み聞かせは下読みをするし、芝居の稽古なんかはぶっつけではできないので、全ての仕事にというわけではないですけど」
伝説的番組の「名司会」評判を呼んだMC
フラットな目線で、包容力がある渡辺さんのナビゲーション。MCとして勉強になったのは、1990年10月~1993年9月放送。その後後継番組が2001年3月まで続いた、「bizSPA!」世代にはおなじみの番組『スーパーマリオクラブ』(テレビ東京)だという。
「小中学生の子供たちがクイズやゲームバトルをするんだけど、いまだに言われるのは、俺の子供に接する態度が面白かったって。子供がね、興奮してギャグとか言っても『ハイハイハイ、ハイ次』なんて、冷たくするのがすごいウケてて。
もともと、主役は子供たちだから、盛り上げなきゃいけないっていろいろスタッフと会議をやったんです。爆笑問題とか海砂利水魚(現くりぃむしちゅー)とか、お笑い芸人をゲストに呼んでネタをやるっていうコーナーもあって。でも、子供向けに一生懸命考えたネタなのに、全然子供が反応しない。