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渡辺徹、安心するナレーションの裏側とは「仕事はクリエイティブ」

 俳優、歌手、ナレーション、司会者、大学教授……マルチに活躍する渡辺徹さん(59)

 多才な渡辺さんですが、なかでも2004年から続いている『地球ドラマチック』(Eテレ)のナレーションは大事にしている仕事のひとつ。視聴者からも「渡辺さんの声を聞くとホッとする」と根強い人気を誇ります。

渡辺徹

渡辺徹さん

 その背景には、相手の“目線”にとことんこだわる姿があるようです。前後編のインタビュー、前編では渡辺さんがコロナ禍で見つけた“避難場所”について聞いたが、後編では渡辺さんの声や言葉が“安心感”を与える秘密に迫るべく、お話を聞きました。

ナレーションの仕事は「とてもクリエイティブ」

 世界のドキュメンタリーを紹介するNHK Eテレ『地球ドラマチック』のナレーション。映像はシビアな内容でも、渡辺さんの柔らかい声がそこに寄り添うことで、〈落ち着く〉〈安心して見ていられる〉という声も多い。

「ナレーションは、顔出しをしない、言葉だけの仕事です。(自身の所属する)文学座は、とりわけ言葉を大事にするという劇団なんですね。文学者たちが作った劇団で文学座、というくらいで、それはそれは研究生の頃から、言葉の操りでものすごくダメ出しを受けてきました。

 ナレーションは言葉を操る原点。アナウンサーさんがやるのとは違うようにしたい、でも情報は伝えたいというせめぎ合いの中でやっています。だから、ものによって声のトーンを少し変えてみたり、テンポも変えてみたり。いろいろな工夫をする。とてもクリエイティブな仕事です」

情報を“ゆらぎ”を入れて届けたい

渡辺徹

 内容によって、ナレーションへの向き合い方も変わる。

「読む言葉そのものは変えられないんですよね。あの番組は本当に大変な作業をしていて、まず外国から作品の買付をして、それを日本語に訳す人がいて、さらに訳したものに間違いがないかどうかを専門家が確認する。それを今度は日本語の尺になるように直していく。

 厳選された言葉で、それ自体は変えられないんですけど、ニュアンスは柔らかくしたり硬くしたりできる。情報を正確にきっちり届けるというのは大前提ですが、そこにちょっと“ゆらぎ”を入れたくて。

 ただ、露骨に“俺”が出ていっても仕方がない。そのさじ加減は、ものすごく注意を払っています。大げさにすると情報が薄くなるし、聞きづらくなるから、ちゃんとドライでいながら、少しだけホットっていう」

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