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東大生向けサロンも提供。「支援好き経営者」が投資したくなる人物像

暮らし

 稼げど稼げど、暮らしはラクにならざる時代。もはや自分の力だけで生きていくのは限界が来ているのかもしれない。そんな中「余ったお金や資産を分け合う」「お金があるところから引っ張る」という“他人のお金任せ”な新潮流が誕生。新たな時代を生き抜く術を紹介する!

他人のお金で生きる!

「駄菓子屋の存在を知りつつ行くことができなかった」知人の障害者の夢を叶えるため、’19年11月に駄菓子屋を開店

支援好き経営者に聞く「スポンサードしたい人」像は

「数字だけを追う人生から解放されれば、人はもっと楽に生きられ、面白いアイデアが湧いてくるのではないか」

 そんな観点から、会社の利益のほとんどを個人や団体への支援活動に投じている稀有な会社がある。エンジニア派遣業を営むリツアンSTCだ。

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<リツアンSTCの支援活動>
東大生を中心に優秀な学生が集えるスペース「KOMAD」、芸大生が大きな作品を作れる「日暮里作業場」といったスペースの提供から、脱サラして店舗経営をするまで活用できる屋台村「天神村」、59歳の障害者のために開店した駄菓子屋など、会社の利益を幅広い支援に活用している
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 そこで同社代表の野中久彰氏に、スポンサー側の視点から、支援したくなる人物像について聞いた。

「心動かされるのは酒の席で酔っている時に支援対象に感じる肌感もありますが、利益や売り上げの話ではなく、夢の話をしてくる人がすごく好き。お金を投じるという形ですが、人という相続税ゼロの資産を得ているつもりです」

 現在は主に未来ある若年層に支援しているが「ギブ&テイクがマッチすれば年齢は不問」と話す。

何かをスポンサードしたい企業は確実に存在する

「投資や支援の可能性は無限にあると思います。現在の勤め先だけがお金を稼ぐ場所だという思い込みを捨てることでしょうか。自分でも気づいていない能力、経験、知識は万人が持っているはずで、そこに投資してもらうという考え方もあると思います。

 例えば、カブトムシやクワガタマニアは独自の採取スポットを絶対に明かさないものですが、中高年でそれを教えてくれる人は私にとっては有益。弊社に所属しているエンジニアの子供の福利厚生に、仕事をお願いすることもあるかもしれません」

 会社を経営している以上、イヤでも今日明日の利益や数字に捉われがちな野中氏にとって、面白くとんがった人々は遠い未来の可能性を教えてくれると同時に、彼らを会社の周囲に置くことで、企業としての信頼と価値が上がると考えているという。

 何かをスポンサードしたい企業は確実に存在する。その求めに応えるスキルや能力、熱意があれば個人でも支援を受けることは不可能ではないのだ。

他人のお金で生きる!

野中久彰氏

【野中久彰氏】
エンジニア業界のマージン率の高さを疑問視し、「リツアンSTC」を’07年静岡県に設立。業界屈指の低マージン率とその内訳を公開

<取材・文/週刊SPA!編集部>

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