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吉野家を舞台にした「異色の牛丼漫画」はなぜ生まれた?原作者を直撃

暮らし

「同じ人間なんだな」と再確認

――原作を書くにあたって、吉野家の人や周囲の知人等に取材されましたか?

ヨコオタロウ:今回、吉野家で働いている方々のことも描きたかったので、編集部さんを通して取材をさせていただきました。食べる側だけでなく、作る側の人たちの想いや苦労などを描くことで、普段なにげなく食べている牛丼にエピソードを添えようと思っていたのですが、取材を通して思ったのは「吉野家で働いている方も、同じ人間なんだな」ということの再確認でした。

 ファストフードというと、どうしても機械的な作業に見えがちですが、働くことの悩みがあったり、「ごちそうさま」の一言を聞けた時の嬉しさなどは、吉野家も家庭も変わらないんだな、と感じました。取材させていただけて良かったです。

あえて女性向けの作風にしたワケ

吉野家兄弟

©Yugiri Aika・YOKO TARO/LINE Digital Frontier

――作画の秋鹿ユギリ氏とのコンビ結成はどのように決まったのでしょうか?

ヨコオタロウ:何名か作画の先生の候補をいただいた時、自分の方から秋鹿ユギリ先生を指名させていただきました。吉野家の牛丼というと、コッテリでボリューミーな男子の食べ物というイメージを持たれる方も多いかと思います。

 マンガによく見られる「男性向け趣味×美少女」というのも1つの解かとは思いますが、牛丼にはそれ以外の側面もたくさんあるので、今回はあえて男性向けではなく、女性向けの作品を描かれている先生にお願いしたい、という希望から秋鹿先生をご紹介いただきました。

 結果的に、素晴らしい仕上げをしていただき、感謝しております。高校生の康夫なんかは、想像以上に可愛くて、中年男性の自分もキュンと来ました。

<取材・文/シルバー井荻>

【ヨコオタロウ】
1970年生まれ。愛知県出身。神戸芸術工科大学を卒業後、ナムコ、ソニー・コンピュータエンタテインメントを経て、ブッコロを立ち上げ。同社代表取締役兼ゲームディレクター。携わった作品に「Voice of Cards 囚われの魔物」「ドラッグ オン ドラグーン」など。マンガ『君死ニタマフ事ナカレ』や舞台の原作などでも、幅広く活躍する

吉野家兄弟 1

吉野家兄弟 1

38歳会社員・小柳翔平と17歳高校生・水島康夫は、仲が悪い訳ではないけれど、どこか距離のある「義兄弟」。そんな彼らが外食チェーンストア『吉野家』を舞台に、美味しいものを囲みながら、彼らなりのペースで歩み寄り…絆を紡いでゆく家族の物語──。

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