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<漫画>教師と生徒の切ない“裸の関係”。数十年かけた漫画が生まれたワケ

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「くらげバンチ」での連載作品を集めた初の単行本『推しの肌が荒れた ~もぐこん作品集~』が発売中のもぐこんさん@mogra16)。

推しの肌が荒れた

『推しの肌が荒れた』 (C)もぐこん/新潮社

 教師と生徒の切ない関係を描いた収録作「裸のマオ」は、「くらげバンチ」史上最速で10万PVを突破し、さらに推しの絵がバズった女子高生・マユと、その絵をきっかけに売れていくアトピーのアイドル・真鈴ちゃんの交差する人生が描かれた表題作「推しの肌が荒れた」は、SNSでも話題を呼びました。
 
 前編では、そんな表題作を中心に作品への想いや作風について話を聞きましたが、そもそもなぜ漫画を描き始めたのでしょうか。単行本を出すまで十数年かかったというもぐこんさんの、漫画家としてのキャリアについて聞きました。

【インタビュー前編】⇒〈<漫画>推しのアイドルの肌が荒れた。当事者にしか描けない漫画とは〉を読む

【マンガ】⇒『推しの肌が荒れた ~もぐこん作品集~』「裸のマオ」を読む

【マンガ】⇒『推しの肌が荒れた ~もぐこん作品集~』「推しの肌が荒れた」の第1話を読む

予備校教師の一言が人生の分岐点に

――漫画はいつから描き始めたのですか?

もぐこん:大学3年生くらいからですね。美大では油絵科に通っていたのですが、絵だけを描いていると飽きる時期があったので、そういうときに漫画を描いてみたのがきっかけでした。

――漫画を描きたくて美大に行ったわけではなかったのですね。

もぐこん:高校生のときは、ゲーム会社とかのイラストレーターになりたいと思っていたんです。「美大のデザイン科」という進路があるらしいと知って、美大の予備校に行き始めました。そこで予備校の先生から「君はデザイン向きじゃなくてファインアート向きだから、油絵科に行ったほうがいい」と言われて、結局油絵科に行きました。

絵を描く楽しさを知ったきっかけ

推しの肌が荒れた

もぐこん『推しの肌が荒れた』(新潮社)

――絵自体は小さい頃から描いていたのですか?

もぐこん:はい。小さい頃はガンダムとか、ゲームに出てくるかっこいいドラゴンとかを描くのが好きでした。でも、大人になるとだんだん「みんなが好きなもの」から「自分の身近にある面白いもの」に興味が移っていきましたね。

 美大に通っていた時期に、ちょうどショッピングモールとかが街にいっぱい建ちはじめたこともあって、よくイオンモールを描いていました。もともとは見るのが好きで、写真を撮ったりもしたんですけど、やっぱり自分なりに絵にするのがいちばん楽しかったです。

――もぐこんさん的にも油絵のほうがしっくりきた?

もぐこん:デザイン科に行く人は丁寧でかっこいい絵を描くイメージがありましたが、自分の絵は雑で泥臭いと思っていたので、腑に落ちた感じはありました。

 油絵科って、就職せずに作品をつくり続ける人が多かったんです。そこに混ざって過ごしているうちに、僕も自分で絵を描く楽しさを知って「誰かに言われたものを描く仕事は違うな」と思うようになりました。だから、今思うと油絵科に行ったのが「人生の分岐点」でしたね。気づいたら大学院まで修了して、フリーターになって十数年も絵と漫画を描いていました。

推しの肌が荒れた ~もぐこん作品集~

推しの肌が荒れた ~もぐこん作品集~

1枚の絵をきっかけに運命が変わった二人の少女の物語「推しの肌が荒れた」など、発表するごとに話題となった作品を厳選収録

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