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水深200mが僕の職場…「深海水族館」で働く人たちに込めた想い。作者に聞く

暮らし

 品川駅から“しんかい線”に乗って20分。東京湾の深海、水深200mにある水族館が舞台の漫画マグメル深海水族館』(新潮社BUNCH COMICS )。水族館をとりまく人間模様や深海生物との交流が丁寧に描かれた本作は、子どもから大人まで幅広く支持を集めています。

マグメル

椙下聖海『マグメル深海水族館 1』(新潮社BUNCH COMICS)

 インタビュー前半の記事では、そんな人気作『マグメル深海水族館1』の誕生秘話を語ってくれた作者の椙下聖海さん@key_dsam)。

 後編では、実際に連載がスタートしてからのお話や、作品に込めた想いを聞きました。また、インタビューと共に、『マグメル深海水族館』の第1話を紹介します。ぜひ最後まで目を通していただきたい。

【インタビュー前半】⇒「<漫画>東京湾の深海にある「理想の水族館」を生んだ、ダイオウイカと“女性漫画家”の存在」を読む

前例がないからこその大変さ・楽しさ

――『マグメル深海水族館』は、どのお話も深海生物にちなんだ内容になっていますよね。

椙下聖海(以下、椙下):基本的には「この深海生物のお話を描きたいな」とか「この特徴はどういう物語にできるかな?」とお話を考えることが多いかもしれないです。ときどき「こういうテーマを描きたいから、合いそうな深海生物がいないかな?」という逆のパターンもあります。

――深海をテーマにした前例のない作品だからこそ、大変なことはありますか?

椙下:ただ、描きたいなと思っても、まったく研究されていない状態のことも多いので、それはとっても難しいですね。飼育されたことのない深海生物だと、どういう水槽に入れたら飼育できるのかが分からなくて、絵にできなかったりするんです。

ファンタジーと面白さのバランスを意識

マグメル

「マグメル深海水族館」(C)椙下聖海/新潮社

椙下:一方で、分からないということは、可能性が残っているということでもあると思っています。すごく極端なことをいうと、マグメルのある東京湾にシーラカンスが生息しているかもしれないわけです。発見はされていないけど、絶対にいないとは誰も言い切れない。だからといって何でもありだとファンタジーになってしまうので、そこのバランスをとりつつ、面白く描きたいなと思っています。

――最終的に、そのバランスはどうやって決めているんですか?

椙下:私ひとりで描いてるわけではなくて、監修の石垣幸二先生がいらっしゃるので、相談しながら決めています。たとえば、2巻で描いたメンダコの孵化は当時あまり実践されていなかったのですが、最近は挑戦している水族館もあって、現実的になりつつあるんです。そういう「近い将来できるようになっていてもおかしくない」という線引きで描くことが多いかもしれません。

マグメル深海水族館1

マグメル深海水族館1

ある日、館長の大瀬崎湊人と出会ったことで、彼の人生に変化が訪れる―――。深海に憧れ、生き物を愛する青年の成長に胸が熱くなる、海洋ロマン開幕!!

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