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<漫画>大手広告代理店→漫画家に。元コピーライターが描く異色の広告業界漫画

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 広告業界を舞台に、体育会系出身のギラギラとしたツワモノや、一癖も二癖もありそうな個性豊かなクリエイターたちに揉まれながら、新人コピーライターが仕事の教訓を獲得していく漫画『ゾワワの神様』。一読すれば、働く全ての人に突き刺さる“鋭いセリフ”にゾワゾワしながらも、仕事への向き合い方を改めて考えさせられる内容が、SNSを中心に注目を集めている。

ゾワワの神様

『ゾワワの神様』

 作者は、日本屈指の広告代理店でコピーライターとして活躍していた異色の漫画家、うえはらけいたさん(@ueharakeita。クリエイターとして、誰もが憧れる道を歩んでいたうえはらさんはなぜ、漫画家へ転身したのか。前編では、漫画家になるまでの経緯と共に、『ゾワワの神様』の第1話から第4話までを紹介する。

【漫画『ゾワワの神様』の第1~4話を読む】⇒次へ>をタップすると次の画像が見られます

【漫画『ゾワワの神様』の第5~7話を読む】⇒次へ>をタップすると次の画像が見られます

“一応”自身がモデルになっている

──漫画で描かれる主人公の新人コピーライターは、うえはらさんご自身がモデルなのですか?

うえはらけいたさん(以下、うえはら):一応そうですが、すこし良く描き過ぎているかもしれませんね(笑)。コピーライターとして入社した頃は、根拠のない自信を持っている頃で、1番良くない時期だったかも。

──ただ、入社した時点でコピーライターとして配属されたということは、会社側はその素質を見抜いておられたのでしょうね。

うえはら:どうなんでしょう? 入社前と入社後に大喜利のようなペーパーテストがあったのですが、とにかく量で勝負しようと数だけは書きました。出題内容で覚えているのが、「街中でポケットティッシュを百発百中で渡す方法は?」とか「ミッキーマウスがミニーマウスに、今でも秘密にしていることは?」といった内容でしたね。

新人コピーライターの過酷な修業時代

うえはらけいたさん

ボツになったコピーの束。200本ほど書いたとか

──確かに、大喜利ですね(笑)。その試験を勝ち抜いてコピーライターとして配属された後は、充実感を得ながら仕事に向き合っておられたのですか?

うえはら:いえいえ、そんな余裕はなかったですね。同期のコピーライターは、学生時代から広告研究会に所属したり、コピーライターの学校に通っていたりして、何かしら広告コピーに触れたことがある人だったので、かなり優秀だったんですよ。だから、焦る気持ちばかりでしたよ。「早く結果を出さないといけない」って、がむしゃらにがんばっていました。

──では、漫画と同じように、とにかく広告コピーを書きまくる日々ですか?

うえはら:入社から数年はそんな感じでしたね。発想の筋トレというか、引き出しを増やすために、とりあえず数を出せと。良いコピーを10案出すために、100通りのコピーを考えるとか。まだまだ、働き方改革が進む前の広告業界なので、友達との飲み会に参加したあとに、会社に戻ってコピーを作ったこともありましたね。

──かなり、過酷な時代を過ごされていたのですね。

うえはら:大変ではあったのですが、「こいつを育ててやろう」みたいな親心を持った先輩ばかりでしたので、感謝の気持ちもありながら何とか食らいつくことはできました。

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