選挙モンスター・河村たかし、ついに“空気”を読み間違えた彼の失敗
2021年7月23日から8月8日まで開催されていた、東京五輪2020。新型コロナウィルスの流行により1年延期となった本大会は、開幕前より組織委員会トップの交代や、開会式関係者の辞任・解任など、相次ぐトラブルが国民の不満を募らせた。
東京大学中退の経歴で、明晰な頭脳を生かしマルチに活躍するラッパー・ダースレイダー(44・@darthreider)の連載「時事問題に吠える!」では現代に起きている政治や社会の問題に斬り込む。
オリンピックではさまざまな問題が起こったが、なかでも強烈なインパクトを残したことのひとつが、愛知県・名古屋の河村たかし市長の“金メダルかじり問題”。
この問題から見える日本社会、そして行政の実態とは何か。前回に引き続き、ダースレイダーが解説する(以下、ダースレイダーさんの寄稿)。
大衆の人気を得るのがうまい“選挙モンスター”
実は、河村市長は“選挙モンスター”と言われていて、とにかく選挙に強い人物です。大衆の人気を得るのが上手い人です。
2021年4月に市長選が行われた直後、つまり市長4期目になりたてで起きた今回の事件。大炎上して「市長やめろ!」という声もたくさん出ています。ただ、僕が意外だなと思ったのが、2020年に大村秀章愛知県知事をめぐるリコール不正署名事件という大問題が起こっているのに、その上で再選されたという点。
これは、知事のリコール(解職請求)に向けて提出された署名の8割以上が、不正署名だった事件です。このリコール運動のリーダーは美容外科・高須クリニックの高須克弥院長ですが、河村市長は応援団員として旗振りをずっとしていたわけです。
河村市長は、この不正が報じられてからは「私はまったく関係ない」「むしろ被害者だ」という態度を取り、問題から距離を置くようになりました。ですが、自分の支援団体の封筒や名簿を使ったりしていたことも報じられています。
関与していないという河村市長の態度
リコールというのは、民主主義下において正当な手続きによって、自分たちが選んだ首長や議員に解職請求できるという非常に大切なものです。
このシステムを利用し、現職の市長が不正をした疑惑があるということです。この事件は運動団体事務局長であった田中孝博氏にほとんどすべての罪を被せておしまいにしようとしていますが、関与していないという河村市長の態度も含め、非常に問題があると思っていました。
この問題が起きたあとにおこなわれた選挙では、たしかに得票率は下がったにせよ、河村氏は再選されて市長になっているわけです。不正に関与したとしても、選挙では勝ってしまう人。その人が今回、金メダルをかじったことに関しては、バックラッシュに遭っている。