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愛知 “密集”音楽フェス、主催者の決定的な怠慢/ラッパー・ダースレイダー

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 8月29日に愛知県で開催された野外音楽フェス「NAMIMONOGATARI2021」が、感染対策のままならない密な状況であったとして非難の声が殺到した。出演アーティストが謝罪文を出したり、開催地である常滑市の伊藤たつや市長が主催者へ抗議文を送付するなど、各方面に影響が及んでいる。

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 東京大学中退の経歴で、明晰な頭脳を生かしマルチに活躍するラッパー・ダースレイダー(44・@darthreider)の連載「時事問題に吠える!」では現代に起きている政治や社会の問題に斬り込む。

 2020年3月から日本は断続的な緊急事態宣言下に置かれているが、いま音楽・イベント業界が置かれている状況とは?「NAMIMONOGATARI2021」の問題の根本は何なのか? ダースレイダーが解説する(以下、ダースレイダーさんの寄稿)。

感染対策を怠っていた“超密集”音楽フェス

 「NAMIMONOGATARI」は2005年から毎年開催されている非常に大きな野外ヒップホップフェスです。毎年規模を拡大させていますから、開催を楽しみにしているファンも多いと思いことでしょう。ちなみに僕は一度も出演も参加もしたことがないという立場です。

 2020年は中止した「NAMIMONOGATARI」ですが、2021年はいっそう感染状況が悪い中での開催ということで、対策は万全にするように自治体との話し合いもあったそうです。ところが実際には、参加客らがSNSに投稿した動画から、感染対策の不備や密な状態の指摘が相次ぎました。そして翌日ニュースになったわけですが、出演アーティストのZeebraさんやAK-69さんなどから謝罪が主催者よりも先に出る形となりました。

 主催者の謝罪文がHPに掲載されましたが、「自分たちは要請に従ってやっていたがうまくいかなかった」という旨の話に終始しています。愛知県の大村秀章知事からは謝罪文の内容が誤っていると指摘され、後日一部で表記は事実ではなかったと主催側が認めています。

フェスは何かを訴えるために開催するもの

『NAMIMONOGATARI2021』タイムテーブル

『NAMIMONOGATARI2021』タイムテーブル ※公式Twitterより

 そもそも、フェスとはfestivalの略称、つまりは祭典です。祭典を開催する上で重要なのは「場所」と「タイミング」。祭典には、集まる人々が属する社会や文化の共通感覚に根ざした問題提起や感情表現が行われ、それを音楽の力がブーストさせていく構造があります。つまり、何かを訴えるために開催するものなのです。

 今回の「NAMIMONOGATARI」を受けて考えるべきことは、祝祭の機能についてだと思います。巷には、祝祭の上っ面だけを模倣し、本来の機能を備えていないものも多い。例えば、2021年の日本では平和の祭典とされるオリンピックとパラリンピックが開催されていてます。

 ただし、今年のほうが感染状況は2020年よりも数倍悪いということも分かっています。では、2021年の日本で祝祭を行う意味は何なのか? この前提部分を考えることがフェスを主催する側の義務であり、またそれこそが問われる部分だと僕は思います

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