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選挙モンスター・河村たかし、ついに“空気”を読み間違えた彼の失敗

ビジネス

空気を読み間違えた金メダルかじり

 その中で、河村市長も「地元出身のメダリストの表敬訪問を喜んで受け付けるぞ、どうぞどうぞ」と調子に乗った。その調子に乗った空気というのは、自分を批判する人を排除する、自分に味方する人たちだけに包まれた空気です。

 日本オリンピック委員会元会長・森喜朗氏の性差別発言が行われた空気もこれと同じだと。五輪の功績は、これが世界に向けて発信されていくことによって、五輪のコロナ対策としておこなわれたバブル方式のような、“河村バブル”・“森バブル”の外の人にも発言や行動が伝わることでもあったわけですが。

 その“調子に乗った空気”の最たるものとして、茶目っ気と「愛情表現」と称して金メダルにかじりついた行為が、その空気というもののあり方や前提を見誤っていたということを示しています。その後は出るわ出るわで、過去に河村市長が「金のしゃちほこ」にかじりついたという話も出たりしました。河村市長をめぐる空気が一変したと思います

 今までふわっとしたものに対して景気のいいことを吹き込み続けて、政治家としてのステップを踏んできた河村市長ですが、実はその空気は中身が何もない風船みたいなものでした。景気のいい公約をほとんど実現せずに、その場を取り繕ってきただけというのが、わかりやすく出てしまった。それが金メダルのかじりつきで、すべて出たと思います。

河村たかし的なあり方は日本社会を象徴

河村たかしTwitterより

河村たかしTwitterより

 さらに金メダルかじり行為は、コロナ感染対策的にどうなのか、という指摘もありました。行政の主張は、飛沫しないようにマスクをしたり、アルコール消毒をつけたり、何かに触れた手で目をこすらないように、という前提に立っているにもかかわらずです。

 それらをすべてすっ飛ばした行動でした。今回、特別に奇行に及んだのではなく、今までずっとやってきたこととだと思います。ただし、徐々に空気を読む能力というのが変わってしまった。「本人」というタスキをつけて自転車で走っていたのも空気作りです。

 一貫した行動なのに「あれ? なんで今回はこうなったんだ?」となり、本人はまったく反省してないことが言動からも伝わります。ところが、トヨタが怒ってしまった。これは空気とは関係ない「実」の部分ですよね。

 実際に自分を支援してくれている地元の人々に影響力を持っている会社に謝罪にいく訳です。トヨタに謝罪に行ったということは、“河村たかし的なあり方の本質”だと僕は思います。

 市長に再選したばかりですから、それこそ今後、正当なリコール運動が起こらないように祈っていますが、今までの河村市長が徐々に空気の読み方を間違えてきたというのも、まさに分断されている日本社会を象徴しているとも言えます。

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