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選挙モンスター・河村たかし、ついに“空気”を読み間違えた彼の失敗

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“7分間の座り込み抗議”で表現したものは?

 その後、河村市長は、テレビニュースに映るには十分な尺である7分間だけ、表現の不自由展の再開に抗議する姿勢として、会場の愛知芸術文化センター前で座り込みパフォーマンスをします。

「表現の不自由展を含めて行政が表現にタッチしない」という大村知事に対抗して、「自分たちが不快だと思う表現をしてはいけないのが行政だ」というような、憲法的にどこをどう読んだらそういう発想になるのかわからないスタンスをアピールしていくことになります。

 そして、文化庁が「あいちトリエンナーレ」に対する補助金を不交付にするという決定に対しても、適正であるという姿勢を取っています。この時点で、民主主義の前提になる憲法や、行政がどうするべきかということに対する理解まったく持っていないということがわかります

 持っているのは、とにかくその場の空気を自分の味方につけること。その場の空気は何であるかということを察知する能力だけでここまできたわけです。

菅首相が「五輪開催」で狙ったもの

開会式の菅義偉首相(代表撮影:雑誌協会)

開会式の菅義偉首相(代表撮影:雑誌協会)

 昨今は、こうやって人気を獲得するポピュリスト的な政治家に対して批判をする人も一定数います。しかし、こういう政治家は批判する人のことは分断・排除をして、存在しなかったことにする。そして自分に賛成する空気を身にまとい、その中で成立する活動を行っているのです。

 この空気の最たるものが五輪開催だったと思います。五輪を開催することで、空気が変わる。これは菅義偉首相が狙っていた効果でもあり、実際に開催してしまえば、みんな賛成するだろうという考えです。これは、日本社会の空気の問題として、昔から社会学者から指摘されていることです。

 今回の五輪開催に関するJNNの世論調査の結果を見ると、6月上旬の調査では「開催すべき(無観客や客数制限含む)」が44%だったのに対し、7月上旬の開催直前の調査では65%にまで上昇。8月の閉幕後の調査では「開催してよかった」と答えたのが「どちらかといえばやってよかった」を含め61%となっています。

 つまり、日本社会は五輪を応援しようという空気に変わっていったわけです。

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