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25歳女性が「僧侶」になった理由と、同世代に言いたいこと

暮らし

 日本人は宗教意識が希薄だと言われている。多くの日本人、特に若いビジネスマンは、忙しい日々のなかで宗教のことを考える機会はほとんどないのではないだろうか。日本に古くから根付く仏教でも、宗教法人数の減少や担い手の高齢化などの問題を抱えている。

浄土真宗

浄土真宗の僧侶・片岡妙晶さん

 一方で、新しい世代の仏教の担い手として、各地で布教活動を行っている若者もいる。25歳で浄土真宗の僧侶をする片岡妙晶さんだ。香川県まんのう町にある実家の慈泉寺で布教活動を行う彼女に、僧侶になったきっかけや若者だからこそできる取り組みについて話を聞いた。

僧侶になろうとしたきっかけは?

 まずは、妙晶さんが僧侶になったきっかけを聞いてみた。

「実家がお寺で、僧侶だった祖父に憧れて僧侶になろうと決めました。自分には兄がいるのでお寺を継げないと思っていて、一時は京都の芸術系の短大に入学しました。でも京都に行くときも自然に数珠を持って行ってました。その後、自分のやりたいことを見つめ直し、短大を中退して僧侶になることを決意しました」

 仏教に携わる職業としては「住職」を思い浮かべるが、妙晶さんはお寺に住み込む住職ではなく、教えを広める道を選んだ。

親鸞(しんらん)聖人が昔民衆に向けて実践したように、教えを経験談として語ることが重要だと考えました。浄土真宗の布教に専念する人はあまりいないと感じていたため、自分が教えを広める役割を担おうと思ったんです」

僧侶には就業時間はない

仏教

※イメージです

 次に、僧侶が働く環境はどうなっているのか聞いた。僧侶は寺とどのような関係にあるのだろうか。

「私たちは、自分の宗派関係するお寺に所属しています。本山があって、その下に各地のお寺があり、住職がお寺を管理しています。所属している人達がどう活動するかはある程度自由です」

 また、僧侶の活動はサラリーマンのように決まった就業時間があるわけではないため、常に自分の立場を意識して生活しなければならない。

僧侶には就業時間はなく、夜中でも誰かが亡くなったら電話がかかってくることもあります。周囲の人はスーパーで会ってもこちらをお坊さんと認識して接してきます。サボろうと思えばお葬式のときだけお坊さんとして振る舞う人もいますが、研鑽(けんさん)を積もうと心がければ四六時中お坊さんであることを意識して生きることになります」

 地元で布教活動を行えば、それだけ周囲にはいつでも僧侶としての対応を求められる。仕事とプライベートの切り替えが難しい環境だが、それでも苦痛に感じることはあまりないという。

「私は世襲制で僧侶になったわけではなく、自分でなりたくてなった人です。周囲が自分を僧侶として見てくれることは、むしろ嬉しいという感情が勝ります。仏教における僧侶とは、教えを布教するだけでなく自分自身で体現していく存在だと思っているので、四六時中僧侶であることは理にかなっている。自分の姿を見て、仏教がどのようなものなのか少しでもわかってもらえたら嬉しいです

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