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「ヨーグルッペ」が本格的すぎるゲームに。なぜ生まれたのか聞いてみた

ビジネス

「ヨーグルッペ」や「スコール」など、お馴染みの飲料水を販売する南日本酪農協同株式会社は、ヨーグルッペの発売35周年を記念した宝探しゲーム『ヨーグルッペトレジャー』を2020年9月に配信した。配信後にネット上では、「作りこみがすごい」「案外難しくて面白い」などの反響も多く見られた。

南日本酪農

提供:南日本酪農協同株式会社

 ゲームの特徴は、広大なマップと宮崎を舞台にした独特の世界観や設定だ。宮崎県がモチーフになった1152万4800平方メートル相当のマップには合計100個の宝箱が隠されており、フィールドを掘ることで総額100万円の現金やプレゼントの抽選権を獲得できる

 自社商品のPR目的でありながら他に類を見ないクオリティをもつ本作は、一体どのような経緯で制作されたのだろうか。今回は、同社で事業を担当した営業企画部の平田氏に話を聞いた。

ゲームを作ろうと思ったきっかけ

 まずは、ゲームを配信して1か月が経過し、世間の反応をどう見ているのか聞いてみた。

「おおむね良好です。作りこみがしっかりしている点や、キャラクターを実物の人間として換算すると東京ドーム247個分という広大なマップに驚かれる人が多かったです。ゲームはシンプルで、ひたすら掘って宝を探すだけですが、このシンプルさも良かったと思います」

 自社製品のPRはさまざまな方法があるが、全国に知名度を広げるにはゲームが最適な手段だったという。

「はじめはゲームに限らず、数多くの企画がありました。その中から、限られた予算の中で全国に自社商品の存在を届けられるものに絞っていくと、最後にゲームが残りました。スマホでもできますし、買わなくても商品認知度を上げられるため、ゲームでいこうと決まりました。そこに景品として現金100万円を加えれば、多くの人に楽しんでもらえるのではないかと思い、今回のかたちになっています。

 私たちは宮崎の会社なので、ゲームのスタートは『ミザヤキ駅』、他にも宮崎の観光地や名物を取り入れるなど、とにかく宮崎のことを知ってほしいという思いも込めています。ゲームの制作自体はコロナ前だったのですが、そこにたまたまコロナも重なって多くの人に遊んでいただいた。今後の『Go To 宮崎』の一環になればいいなと思っています」

『ヨーグルッペトレジャー』のPR戦略とは

南日本酪農

 ゲーム制作をするにあたって、同社はこれまでのPR戦略を大幅に見直している。平田氏によると、九州地方限定で流していたテレビCMの予算を大幅に削減し、ゲーム制作にあてたという

「ゲームの制作には予算の半分くらいを使っています。既存のテレビCMは宮崎、福岡、鹿児島で流していましたが、そこの予算はぐっと減らしています。既存の媒体からゲームに広告費を移して、SNSでみなさんに広げていただければと考えました。自社の製品を全国に認知してもらえる方法は、極端に言うとゲームしかなかった。バズるバズらないは別として、みなさんの手元になんとか送り出すことができる。そう思って作りました」

 多くの人にゲームを遊んでもらうためには、現金やグッズを用意する必要があると考えた。しかし、ゲームそのもののクオリティが思わぬ反響を呼んだ。

「実際には、ゲームを配信した最初のほうはあまり利用されていませんでした。ゲームが話題になったのは、現金が当たることよりもむしろゲームが本格的であることでした。ゲームの作りこみなどをSNSで話題にしてもらって、そこから横に広がってみなさんに遊んでいただけるようになったのかなと思っています」

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