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インターン学生と接する“社員”、実は代行業者も…。運営会社に聞くジレンマ

学び

 学生向けのインターンシップ(以下、インターン)は、大手企業を中心に新卒採用試験の選考過程で広く導入されています。日本語では「就業体験」と訳されますが、企業側としては面接では測りきれない学生の資質を確かめる手段として、学生側も職場の雰囲気を確かめる手段として活用されているケースも少なくありません。

インターンイメージ

※画像はイメージです

 そして、近年は法人向けにインターンの企画や代行を運営する企業もありますが、2019年10月17日、日本経済新聞が、それに批判的な記事を掲載したことも注目されました。

 当該記事には、大手メーカーに入社した男性が内定までの相談をしていた人物が社員でないと分かり、ショックを受けた様子や、インターン時の作業が実務とはかけ離れたものであったことに憂う声が掲載されています。これに対して「実際の職場をみせないと意味がない」「丸投げではなく企業はしっかりと学生に向き合うべき」といった手厳しい意見もネット上で散見されました。

 こうした声も聞かれるなか、実際にインターンの代行を手がける企業はどのように取り組んでいるのか。会社説明会の運営や面接の代行、インターンの企画や運営を請け負う株式会社アールナインの代表取締役社長・長井亮氏に話を聞きました。

「中途半端にしたくない」企業の本音

長井氏

代表を務める長井氏

 インターン本来の目的について「企業の仕事内容を体験し、実際の職場で働く意義を学生たちに伝えること」だと話す長井氏。企業側が代行サービスを利用する背景を次のように解説します。

「新卒採用でインターンが浸透し始めたのは、2010年代に入ってからでした。大手企業を中心に広がりをみせるなかで、インターンを作り込む過程が作業化している傾向があるのも事実です。ただ、我々のような代行サービスに依頼する企業には、けっして手抜きをしようという意思はありません。

 実際の人事担当者から聞くと、『自分たちで主催したら企画の段階で試行錯誤してしまい、本番では会社説明会に終始してしまった』と失敗を憂う声もあります。彼らとしても、内心では『学生たちに働く意義を伝えたい』と考えているのが本音。そのため、片手間で人員や時間を割いて中途半端に実施するのであれば、プロに頼み、しっかりと作り込みたいというケースが多いです」

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