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リーマンショックの再来か?令和の日本がおびえる巨額のマネー爆弾とは

コラム

 5月1日、平成から令和にかけての改元で、浮足立っている日本。一方、海外では、長引くイギリスのEU離脱騒動や、トランプ大統領が対中関税25%引き上げを表明するなど世界経済への悪影響が懸念されています。

世界経済

※画像はイメージです(以下同じ)

 令和時代の世界経済は良くなるのでしょうか、それとも悪くなってしまうのでしょうか。5月7日放送の『クローズアップ現代+』(NHK)では、「東証10連休 “令和マネー”はどう動く?」と題し、これからの経済の行方が紹介されました。

アメリカで注目される最新理論は「日本経済」がモデル

 4月29日におこなわれた世界最大規模の国際会議「グローバル・カンファレンス」では、今年の世界経済は明るいとの見方が大勢を占めていました。しかし、世界の国と民間の債務は約2京円と天文学的な数字になっており、投資家のジム・ロジャーズさんは「これまで経験したことのない金融危機が起こる」と懸念を示しています。

 しかし、ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授は「債務がいくらあっても破綻は起きない」というMMT(現代貨幣理論)という新しい理論を提唱し、これが注目を集めています。

 MMTとはModern Monetary Theoryの略称で、国が借金をしながら支出を続けることで、経済が活性化していくという理論です。完全雇用が達成されるまで、政府が支出を続けることがこの理論の肝となっており、何より1000兆円を超える借金を抱える現在の日本が成功例だとしているのです。

 一見すると、債務不履行になってしまったり、極端なインフレになってしまったりするのではないかと不安になりますが、ケルトン教授は「債務がいくら大きくても債務不履行になることはありません。MMTは期限がいつであろうと、債務を返済できる仕組みなのです」と番組のインタビューに答えます。

リーマンショックの再来か…「CLO」とは?

JPモルガン

©Stefano Carnevali

 イギリスのヘッジファンド、ホースマンキャピタルのマネージャーのシャノン・マコナキーさんは「CLO」(Collateralized Loan Obligation)と呼ばれる金融商品を危険視しており、「経済の不均衡の象徴です。完全にクレイジーです」と番組のインタビューで、警鐘を鳴らしています。

 CLOとは、ローン担保証券と呼ばれている金融商品で、金融機関が企業に貸し出した債権の中で、経営状態に課題があり、格付けが低いもので出来ています。JPモルガンやウェルズ・ファーゴなどCLOの発行会社は、こうした債権を買い集め、破綻のリスクに応じて金融商品を作ります。

 もちろん破綻のリスクが高ければ高いほど金利も高く設定されていますが、破綻のリスクが低くても、格付けの低い債権のため、他の金融商品に比べると、金利が高くなっています。アメリカのCLO残高は、昨年70兆円にものぼっており、7年間で2倍以上に急増しています。

 これによく似ているのがリーマンショックを引き起こす原因となった、格付けの低い住宅ローンの債権をもとにしていたサブプライムローンでした。「CLOの格付けが下がるような事態になれば、世界中に損失が広がる可能性がある」「日本の金融機関は、CLOに投資している主な投資家であり、多くのリスクを抱えている」とマコナキーさんは指摘しています。

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