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大塚家具、32億円赤字と業務提携。生き残りの斬新なアイデアとは…

ビジネス

 平成の時代もまもなく終わろうとしている2019年2月。しかしながら、今年に入ってもカルロス・ゴーン逮捕の日産や、“施工不良”が明らかになったレオパレス、あるいは不正統計の厚生労働省など不祥事が止まりません。

大塚家具

IDC大塚家具名古屋星崎ショールーム CC BY 3.0

 こうした事件は経営陣や組織のトップの問題であり、イチ会社員である自分には関係ないと考えている人も多いかもしれません。でも、自分だったらどうするか? という視点で考えることは決してムダではなく、論理的な思考を養う一助となります。

 今回は固定観念や既成概念にとらわれない新たなアイデアを生み出す思考法“ラテラルシンキング”で、そうした事例をどうやって解決するか、ラテラルシンキングの専門家・木村尚義さんの著書『NOロジック思考』をもとにご紹介します。

 今回取り上げるのは、2月15日に3期連続となる32億円の赤字決算と、同時にヤマダ電機との驚きの業務提携を発表した大塚家具です(以下、木村さんの寄稿)。

大塚家具の成功と衰退のワケ

 昭和の高度成長時代は、地方の大家族が分散して核家族化した時代でした。金の卵といわれた中学を卒業した働き手が地方から主要都市に集団就職します。都市部には受け入れのため団地や住宅地ができます。

 こうして主要都市は人口が毎日のように増えました。都市部を囲むように公団住宅が建ち並ぶようになります。とはいえ団地という箱は作ったものの中身はまだまだ。家具は新たな住人の手で揃えなければなりません。

 そのような時、1969年、春日部に大塚家具は前身となる大塚家具センターをオープンします。当時の春日部では巨大団地を建設中であり、団地が建つたびに、ともかく大量に家具が売れたのです。

 21世紀に入り時代は変わります。かつて団地の賑わいの中心だった若い人は高齢化していきます。人も建物も老朽化するとともに空き家と不要な家具が増えてきます。かつてのように大量の引っ越しや新築需要が見込めません。

問題の根本は家具を買うこと自体の不安

NOロジック思考

『NOロジック思考』(KKベストセラーズ)

 住宅を求める側も、所得減と将来も勤め先が存続するかどうかという不安から、一生モノの家具を買っても持て余してしまうなら、いざというときに使い捨てできるようにできる限り安価な家具を求めたい。

 そうした時に、IKEAやニトリなど一生モノとまではいかないけれど、手頃な値段の家具を販売する家具店が登場します。そこそこのデザインでそれなりに丈夫で安価な家具という目新しさもあってIKEAとニトリは繁盛します。

 そうした安価で繁盛している家具店を目の前にして、大塚家具は経営方針を巡って親子で対立するようになります。

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