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専門性が高いのに1年契約…学校カウンセラーの理不尽な雇用実態「いきなり雇止めに」

ビジネス

 東京都公立学校のスクールカウンセラーの9割超が、雇止めの不安を感じている、そんな実態が心理職ユニオンのアンケート調査で明らかになった。スクールカウンセラーは、不登校やいじめの問題が深刻化した1995年以降、文部省によって公立校への導入がすすめられ、いまや東京都の全ての公立小学校・中学校・高校に配置されている。

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※画像はイメージです(以下同じ)

 子どもの育ちを支え、また保護者や教員など育児・教育の担い手をも支えるスクールカウンセラーだが、その専門性・公共性の高さにもかかわらず1年間の有期雇用契約である「会計年度任用職員」として働かされており、不安定な雇用に脅かされているのである。

 心理職ユニオンのメンバーであり、9年間、東京都の公立小学校でスクールカウンセラーとして働いてきた鈴木真知子さん(仮名)に話を聞いた。

主な仕事は子どもの育ちを支えること

 スクールカウンセラーの主な仕事は、児童・生徒、保護者、教員から相談を受けて、必要な場合には担任教員などと連携しながら対応することで、子どもの育ちを支えることである

「中学年・高学年になると児童自身が相談に来ることもありますね。同級生からいじめられている、仲間外れにされているとか。あるケースでは、いじめの相談を受けた際に、担任の先生だけではなく、学年の先生とも連携して対応してもらうこともありました」

 また発達障害などの特性を持つ子どもを育てる保護者の方の相談・支援も重要だ。

ニーズの所在を探るためのアウトリーチも

鈴木真知子

スクールカウンセラーとして働く、鈴木真知子さん

発達障害を持っているお子さんに関する相談も多いです。授業についていけなかったり、他のお子さんに暴力をふるってしまうようなお子さんもいます。そういうお子さんの保護者の方のお話を聞いて、専門的な支援につなげたりします。また保護者自身がいっぱいいっぱいになっている場合も多いので、話を聞いて、保護者自身を支援していくことも大切だと思います」

 このように持ち掛けられた相談に対応することだけではなく、保護者や児童の相談が入っていない時間には、支援のニーズの所在を探るためのアウトリーチも行う。

相談が入らない時は、校内を巡回して、いろいろなクラスに入って児童の様子を見ることも多いですね。とくに担任が対応に困っているクラスとかに行って、子どもたちの様子を見ることも多いです。授業が分からなくてイライラしている子がいたら、様子を見つつ『どうしたの?』と声をかけたり、休み時間や放課後には先生たちに気になった児童の話を聞きに行ったり。『あの子どうしてますか?』とか」

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